来年はうさぎ年 ケネディ大統領暗殺、石原裕次郎さん死去…うさぎ年の歴史を温故知新してみた

うさぎ年の主な出来事

<ニュースの教科書>

クリスマスモードも終わり、もういくつ寝るとお正月である。来年はうさぎ年。十二支の4番目で、ピョンピョン跳ねるところから「飛躍」のイメージが浮かぶ。過去のうさぎ年を振り返ってみると、大政奉還、第2次世界大戦、ケネディ大統領暗殺、東日本大震災など歴史に残る出来事が多数起きている。来年はどんな年になるのか。温故知新してみた。

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うさぎ年は、十二支では「卯」という字で表す。12年サイクルの十二支は、中国・殷の時代(紀元前17世紀~同11世紀)にできたといわれる。日本には「日本書紀」の記述などから、6世紀ごろに伝わったとされている。今回は近代以降、13回あったうさぎ年の出来事を振り返ってみた。

◆日本の転換

1867年(慶応3)10月14日に、第15代将軍の徳川慶喜が京都・二条城で、政権を朝廷に返す「大政奉還」を発表。江戸幕府が約260年で幕を閉じた。朝廷への上表文には「政権を朝廷に返して、国民が一致団結すれば、必ず外国と並び立つことができる」と記された。

84年後のうさぎ年の1951年(昭26)9月8日に、第2次世界大戦・太平洋戦争に敗れた日本と連合諸国との間で、サンフランシスコ講和条約が締結された。戦争状態が終結し、日本の主権が回復した。

うさぎ年は、外国と並び立とうとした日本の起結の年のようである。

◆歴史に残る大震災

1891年(明24)10月28日午前8時37分、岐阜・根尾谷(現本巣市根尾)を震源としたマグニチュード(M)8・0の大地震が発生。濃尾地震で、日本最大、世界でも最大級の「内陸直下型地震」だった。

120年後のうさぎ年の2011年(平23)3月11日午後2時46分、宮城県牡鹿半島沖130キロを震源とするM9・0の東日本大震災が発生した。日本観測史上最大の「海溝型地震」で最大震度は7。最大40・5メートルの巨大津波が発生し、福島第1原発事故が起き、大きな被害が出た。

関東大震災(1923年=大12)と阪神・淡路大震災(95年=平7)はいずれも亥年に起きた。

◆激震のアメリカ

1963年11月22日、アメリカのJ・F・ケネディ大統領がテキサス州ダラスで遊説中に狙撃され暗殺された。46歳だった。約1時間後に、リー・ハーベイ・オズワルド(24)が逮捕されたが、直後に銃撃され死亡した。さまざまな陰謀説があった。

12年後の75年4月30日に、北ベトナムが南ベトナムの首都サイゴンを解放し、ベトナム戦争が終結した。南を支援した大国アメリカが初めて対外戦争に敗北した戦争だった。ケネディ大統領が生きていたら、という声もあった。

◆スーパースターの死

1987年(昭62)7月17日に、国民的な俳優で歌手の石原裕次郎さんが幹細胞がんのため52歳の若さで死去した。「昭和」は戦争の暗い時代と、高度経済成長の希望に満ちた時代に2分されるという。裕次郎さんは「希望に満ちた時代」の象徴だった。

12年後の99年(平11)1月31日に、全日本プロレス社長のジャイアント馬場さんが大腸がんで亡くなった。61歳だった。代名詞の16文キックで子供たちに夢を与えた。力道山、アントニオ猪木と並ぶプロレス界のスターだった。

◆スポーツ初めてづくし

1903年に大リーグの第1回ワールドシリーズが開催された。12年後の1915年(大4)には、夏の甲子園の前身となる第1回全国中等学校優勝野球大会が開幕。60年後の75年(昭50)には、プロ野球で広島東洋カープが初優勝。36年後の11年(平23)には、女子サッカーW杯でなでしこジャパンが初優勝した。

23年はどんな年になるのか。十二支を使った新年相場の経験則がある。「子は繁盛、丑はつまずき、寅は千里を走り、卯跳ねる、辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる」なのだそうだ。ということは、景気は跳ね上がってくれる、かも。

◆十二支(じゅうにし) 「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)」で年を表す。かつては月や時刻、方位も表した。時代劇や怪談の「丑三つ時」は午前2時~同30分ごろ。

今は干支(えと)といえば十二支を指すが、本来は別物。十二支と、五行思想に基づく十干(じっかん=「甲(こう)・乙(おつ)・丙(へい)・丁(てい)・戊(ぼ)・己(き)・庚(こう)・辛(しん)・壬(じん)・癸(き)」)を組み合わせた60種が干支(十干十二支)である。還暦の由来だ。十干はかつて学校の成績表に使われ、今でも契約書に登場する。2023年は十二支では「卯」、干支では「癸卯(みずのとう)」の年となる。「辛亥革命」「戊辰戦争」などの名称は干支を使っている。甲子園球場は1924年(大13)の「甲子」の年に完成して命名された。

■うさぎ年と十二支にまつわるアレコレ

▼なぜ「卯」の漢字 うさぎは「兎」の漢字が一般的で、「卯」には本来ウサギの意味はない。卯だけでなく、十二支のすべての漢字は動物とは関係がない。かつて十二支の字は植物の1カ月ごとの成育を表していた。しかし、庶民には難解で、身近な動物をあてはめた。例えば「子」は「種から生命が誕生する状態」を意味した。そこで繁殖能力が高いネズミが割り当てられた。「卯」は「茎や葉が大きくなる状態」の時期を意味し、飛躍の時なのでウサギを当てはめたといわれている。

▼なぜ月にウサギ? 由来はインドの神話。貧しい老人のために、ウサギが自分を食べてもらおうと火に飛び込んだ。老人は実は天界最高位の帝釈天で、その慈悲深い行動をすべての生き物に見せるため、その姿を月の中に映した。日本では「今昔物語」で広がった。餅つきのように見えるのは諸説あるが、老人のために食べ物に困らないようにという説がある。現実的にはそう見えるだけで、海外では「横向きの女性」(アメリカ)「バケツを運ぶ少女」(カナダ)「本を読む女性」(北欧)などさまざまである。

▼米雑誌「プレイボーイ(PLAYBOY)」のウサギは ちょうネクタイをしたウサギのマークが有名。ウサギの格好をしたセクシーなバニーガールが由来かと思いきや違う。実はウサギは一年中性欲が強いことから、男性成人雑誌のシンボルとなった。

▼割り算で分かる

西暦を12で割って、余りが7だとうさぎ年。法則があり、申は余りなし、酉は余り1、戌2、亥3、子4、丑5、寅6、辰8、巳9、午10、未11になる。

▼世界の十二支 本場中国、台湾、韓国は日本と同じだが、チベット、タイ、ベトナム、ベラルーシは「卯」が「猫」になっている。またベトナムでは「丑」が「水牛」、モンゴルでは「寅」が「豹(ヒョウ)」になっている。

◆笹森文彦(ささもり・ふみひこ)北海道札幌市生まれ。83年入社。主に文化社会部で音楽担当。酉年のふたご座で、血液型はAである。いくつか占いを見てみると「社交性がある」「気配り上手」「きちょうめん」とある。欠点は見ない。地球上に同じ組み合わせの人は無数にいるだろうから、参考程度にしておこうと思っている。