佐藤天彦九段の不服申し立てを却下 昨年10月の対局でマスク外し反則負け

佐藤天彦九段(2018年撮影)

日本将棋連盟は13日、佐藤天彦九段(34)の不服申し立てを却下したと発表した。佐藤天九段は昨年10月28日に実施された「名人戦・第81期順位戦A級4回戦」の永瀬拓矢王座(30)戦で、約1時間にわたりマスクを外していたため、臨時規定に基づいて反則負けと裁定された。これを受けて同年11月1日、佐藤天九段は同連盟に対し、不服申立書を提出していた。

書面の内容について同連盟では弁護士も交えて慎重に審議した結果、臨時規定及び対局規定に即した妥当な判断で永瀬戦の指し直しはせず、改めて反則負けとした。

発表資料の中で同連盟は、佐藤天九段のマスク不着用だったことは事実とした。そのうえで、臨時規定施行時に棋士及び女流棋士に通知した反則の適用除外となる「食事をしているとき」「飲み物を飲むとき」「周りに人がいない(2メートル以上離れている)とき」等の「一時的な場合」にも明らかに該当していないと判断した。こうした同規定の内容については定例報告会、会報、電子メール等の機会を通じて、複数回にわたり周知説明してきたと主張。「反則負けの用件を満たす」と理由付けた。

今回の一連の事態を踏まえ、同連盟では夕食休憩を含む長時間の対局の全てに立会人を設けることを速やかに決定した。さらに、「提起された意見も貴重なものとして真摯(しんし)に受け止め、今後の改善に活(い)かす所存です。既存の規定や運用方法についても、理事会等に諮りつつ、再検証と一層の改善、整備に務めて参ります」とした。