「ルフィ」ら4人一斉の強制送還、正式要請 2月第2週フィリピン大統領訪日までに解決目指す

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全国各地で相次ぐ広域強盗事件をめぐり、フィリピンの首都マニラの入管施設で収容されている日本人の男4人について、在フィリピン日本大使館は30日、レムリヤ法相に対し強制送還を正式要請したと明らかにした。強盗事件の指示役とされる「ルフィ」や「キム」らが含まれるとみられる。警視庁はいずれも特殊詐欺事件で逮捕状を取っており、逮捕後、強盗事件への関与についても調べる方針。日本側は4人一斉の引き渡しを求めた。同法相は、2月第2週に予定されるマルコス大統領訪日までの解決を目指す考えも示した。

4人は渡辺優樹容疑者(38)、今村磨人容疑者(38)、藤田聖也容疑者(38)、小島智信容疑者(45)。渡辺、今村、藤田の3容疑者は北海道出身。4人は、同国入国管理局が19年11月にマニラで36人を拘束した特殊詐欺グループの幹部で、窃盗容疑などで逮捕状が出ている。

渡辺容疑者は、同国で「元妻」が暴力を受けたと告訴し、刑事被告になっている。21年4月中旬に逮捕。同5月17日に元妻から告訴され、マニラの裁判所で女性やその子どもに対する暴力行為の罪に問われた公判が始まっており、次回期日は2月16日という。送還を避けるため容疑者が金銭を払ってでっち上げた疑いも指摘され、同法相は「棄却可能なら、取り下げ方法の検討を関係者に要請している」と述べ、虚偽ならば事件を棄却し送還するまで12~14就業日を要するという。容疑者の弁護人は、元妻が公判に出廷し、容疑者が無実を訴えているとして偽装を否定した。同事件が取り下げに至らない可能性もある。

渡辺容疑者が、マニラで逮捕されるまで5つ星の高級ホテル「オカダ・マニラ」に潜伏し、併設のカジノで豪遊などしていたことも分かった。関係者によると、飲食無料で熟練スタッフのアドバイスも受けられるVIP専用エリアでカジノを利用。従業員と顔見知りになるほどの常連だった。仲間の男性の他、女性と一緒の時もあった。たばこを吸いながらバカラで遊び「たくさん賭け、よく負けていた」という。

国家捜査局は逮捕時、渡辺容疑者について、日本、フィリピンを含む数カ国で電話などを使う大規模な詐欺グループの「ビッグボス」だと説明していた。