岩手県二戸市白鳥湯殿で25日、1人で農作業をしていた無職和山ミンさん(87)がクマ1頭に襲われ、顔面や背中などに裂傷を負った。二戸署や地元消防によるとクマの性別や大きさなどは不明。令和になってから二戸市でのクマによる人身被害の報告は3年ぶり2度目。
二戸地区広域行政事務組合消防本部に25日午前10時21分、「母親が自宅近くでクマに顔面を引っかかれて血を出してけがをした」と男性の声で119番通報があった。救急車が同34分に現場に駆け付けると、和山さんが頭頂部と顔面、背中にクマに引っかかれた状態だった。
署や市では地元猟友会に巡回警備を依頼し、防災無線やパトカーなどでクマ出没情報と注意喚起を訴えた。
署の調べでは、和山さんは自宅から約200メートル離れた自分の畑で草刈りをしていたという。突然、ニホンツキノワグマと思われるクマが現れ、前足で引っかかれた。和山さんはひとり暮らしだが、長男と孫(男性)が24日から遊びに来ていた。和山さんは「クマにひっちゃかれた」と長男に告げ、自力で畑から自宅まで歩いてきた。しゃべることができて意識はしっかりしていたという。
近隣住民によると「ご主人はかなり前に亡くなっていて、嫁いだ娘さんも近くに住んでいて、長男とその息子も週末ごとに遊びに来ていた」と話し「ミンさんの畑は今は何も植えていなかったけど、これからアズキをまくために草刈りをしていた」と話した。
別の住民は「畑は自分で耕して作物を植えている、気丈で頑張り屋さん」と和山さんの気さくな人柄について話した。和山さんの畑の隣は竹林になっていてちょうどタケノコの先端が出てくる時期で「もしかしたら山から降りてきたクマがタケノコを狙っていて、ミンさんが目に入っちゃったのかもしれないなぁ」と話す住民もいた。
岩手県ではクマによる人身被害が多発。今年は4月からすでに12件13人の被害報告がされている。県ではクマ出没注意報を4月18日に発表していたが、相次ぐクマ被害に5月27日に警報に切り替えていた。
年度別の県内のクマによる人身被害状況は2017年が16件(17人)、18年は12件(12人)、19年15件(16人)、20年27件(29人)、21年14件(14人)、22年23件(24人)と増加傾向にある。【寺沢卓】