【王座戦】藤井聡太対永瀬拓矢 王座戦の舞台「元湯陣屋」で起こった「陣屋事件」とは…

永瀬拓矢王座(左)に藤井聡太竜王(右)が初めて挑戦する王座戦第1局は藤井の先手でスタート(右後方は羽生善治会長、日本将棋連盟提供)

藤井聡太竜王(名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖=21)が8冠全制覇を目指して永瀬拓矢王座(30)に初めて挑戦する、将棋の第71期王座戦5番勝負第1局が31日午前9時から神奈川県秦野市「元湯陣屋」で始まった。

陣屋は1918年(大7)創業の老舗旅館で、昭和将棋史に残る「陣屋事件」の舞台になるなど、これまでに300以上のタイトル戦が行われている。

旅館の公式ホームページによると、52年に第一期王将戦7番勝負第6局の木村義雄名人と升田幸三・八段の対決が同所で行われた。この時に「陣屋事件」が起こった。

後の升田の主張によると、鶴巻温泉駅から歩いて陣屋に向かい、玄関のベルを押したが、だれも出てこない。通りかかった番頭も取り合わない。宴会の騒ぎさえ聞こえる。「旅館を変えてくれんのなら絶対に指さん」。怒りを爆発させて、そのまま対局を拒否して東京に帰ったという。

日本将棋連盟の理事会は、升田を1年間の出場停止処分にし、理事全員が引責辞職した。だが、問題解決を一任された木村名人が「升田は即日復帰、理事の辞表も受理しない」という裁定を下して“一件落着”とした。

升田は第6局を不戦敗となったが、平手番の第7局に勝って第1期王将となった。