唯一の公認「虎スーツ」仕立て屋 踏ん張り続けた店主「必ず記念の特製ブレザーを」日本一心待ち

裏地に阪神のユニホームを模した縦じまのブレザーを着る「テーラー虎」の中村英二店長(撮影・松浦隆司)

阪神タイガースとオリックス・バファローズが対戦するプロ野球の日本シリーズが、28日に京セラドーム大阪(大阪市西区)で開幕する。59年ぶりの「関西ダービー」に沸く中、コロナ禍を乗り越え、阪神の38年ぶり日本一を心待ちにする「虎スーツ」の仕立て屋の店主がいる。

「最近、朝早く目が覚めて、よく眠れないんですわ。なんか、こうソワソワというか、楽しみ半分、過去の“トラウマ(心的外傷)”も半分ですわ」。阪神のロゴなどを裏地にあしらった日本で唯一の球団公認「虎スーツ」を仕立てている「テーラー虎」(大阪市中央区)の中村英二店長(62)が開幕前日、声を上ずらせた。

虎スーツは表地はグレーや紺色で一見、普通のスーツだが、裏地は阪神のユニホームを模した縦じまや、「六甲おろし」の歌詞が染め抜かれたものなど10種類以上の柄から選ぶ。トラをあしらったボタンもある。ファンそれぞれの「猛虎愛」のオーダーを聞きながら仕立てていく。

テーラー虎は「ヤングブラッド」の店名で紳士服店として営業していたが、00年から球団の公認を得て虎スーツの販売を始めた。星野阪神が03年に18年ぶりのリーグ優勝を果たすと注文が殺到。05年に現店名に改めた。

コロナ禍では売り上げが激減し、家族から「もうやめたほうがいいのでは」と“説得”されたが、幼いころから大の阪神ファンの中村さんは「日本一の記念ロゴを裏地に入れた特製ブレザーを作らない限り、店をたたむわけにはいかない」と踏ん張った。岡田阪神の18年ぶりのリーグ優勝記念ブレザーを「必死のパッチで仕立てている」という中村さん。阪神の日本シリーズ制覇は85年の1度だけ。「生きているうちに日本一をもう1回見たい」。今年こそ歓喜の日が訪れると信じている。【松浦隆司】