【竜王戦】伊藤匠七段「もう少しシリーズを盛り上げたかった」藤井竜王と同学年対決4連敗で敗退

藤井聡太竜王に一矢報いてかど番をしのぎたい伊藤匠七段(日本将棋連盟提供)

藤井聡太竜王(名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖=21)が伊藤匠七段(21)の挑戦を受ける第36期竜王戦7番勝負第4局が10、11の両日、北海道小樽市「料亭湯宿 銀鱗荘」で行われ、先手の藤井が129手で伊藤を下し、4連勝で竜王3連覇、全8冠制覇後の初防衛に成功した。タイトル戦初挑戦となった伊藤は同学年対決で真っ向勝負を挑んだが、シリーズ初白星を挙げることができなかった。

伊藤は藤井のエース戦法「角換わり」を受けて立った。1日目の午前中から激しく駒がぶつかり合った。伊藤の研究が勝り、1日目は形勢、消費時間ともにリードした。2日目の封じ手開封以降、誤算があったのか、昼食をはさみ、2時間28分の大長考に沈んだ。終盤の攻め合いでリードを奪われた伊藤は粘りを見せたが、届かなかった。

終局後、伊藤は「1日目から終盤戦になり、後手玉への迫り方を間違えてしまった。もう少し前の段階で読みを入れるべきだった」と振り返った。

ともに02年生まれの同学年対決。「藤井を泣かせた男」。12年1月の全国小学生将棋大会では準決勝で藤井と戦った。敗戦した藤井は悔しくて大泣き。「藤井を泣かせた男」と呼ばれるようになった。

藤井から遅れること4年、20年10月にデビューした伊藤は宮田利男八段門下。今期の竜王戦はランキング5組優勝から12連勝で挑戦権を獲得する「竜王ドリーム」を実現し、藤井の待つ土俵へと上がることができた。今回の竜王戦では、宮田師匠の故郷でもある第6局の秋田対局を1つの目標としたが、かなわなかった。

シリーズを振り返り「自分の力不足が顕著になった」と話し、初のタイトル挑戦での4連敗に「もう少しシリーズを盛り上げたかった。非常に貴重な経験ができた」。構想力、読みは紙一重だが、藤井の強さを痛感した。「また成長して、こういった舞台に出ることができれば」と前を向いた。【松浦隆司】