自民党が東京で3たびの敗北 青梅市長選で自公推薦の現職敗れる 岸田政権への逆風が影響か

自民党本部

自民党が、東京の選挙でまた敗れた。任期満了に伴う東京都青梅市長選は12日、投開票され、自民、公明両党が推薦し3選を目指した現職の浜中啓一氏(71)が、新人の元市議、大勢待(おおせまち)利明氏(48=国民民主党、都民ファーストの会推薦)に敗れる波乱が起きた。青梅市は自民が強い地盤だが、大勢待氏は2万6042票を獲得し、浜中氏の1万7152票に8900票近い差をつけており、今回の結果に衝撃が走っている。

岸田文雄首相が定額減税を含めて打ち出した新たな経済政策に有権者の共感が集まらず、内閣支持率も「危険水域」の2割台に落ち込む中、自民党に向けられる有権者の厳しい視線が反映された形ともいえる。岸田首相の解散戦略にも影響する可能性がある。

自民党が、東京の選挙で敗れるのは3カ月連続。9月の立川市長選では、公明とともに推薦した新人が元立憲民主党の都議に、10月の都議補選・立川市選挙区(欠員2)でも都民ファ、立民の両候補に届かず、それまで持っていた議席を失った。

自民党は、次期衆院選での東京都内の選挙区候補者調整をめぐり、連立政権を組む公明党との関係が悪化。公明党の石井啓一幹事長は今年5月、「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」と強い言葉を口にし、一時、選挙協力解消の方針を打ち出した。

両党は9月4日に選挙協力「復活」で合意したが、復活後、初めてとなった10月の都議補選も2位と91票差と僅差ながら敗れ、選挙協力の本格復活には至らなかった。今回は、両党の協力関係を占う上で結果が注目されたがまたもや勝てず、次期衆院選の東京での戦いに不安が残ったままだ。

自民は、10月22日に投開票された埼玉県所沢市長選でも、4選を目指した自公推薦の現職が、無所属新人の小野塚勝俊氏に敗れた。この時は、小3以下の子どもを自宅に残して外出することを「虐待」とするなどの「虐待禁止条例」改正案を自民県議団が県議会に提出したが、県民の猛反発で撤回した騒動の影響が指摘された。

初当選した大勢待氏は、現市政からの転換を訴えた。小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の森村隆行代表の地元で、現職の厚い壁を破った。投票率は39・56%で、前回の36・51%を3・05ポイント上回った。【中山知子】