<ひふみんEYE>
将棋の藤井聡太王将(竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・棋聖=21)が菅井竜也八段(31)の挑戦を受ける第73期ALSOK杯王将戦7番勝負第2局が20、21の両日、佐賀県上峰町の老舗料亭「大幸園」で行われ、先手の藤井が113手で菅井を破り、シリーズ対戦成績を2勝0敗とした。8冠防衛ロードの24年初防衛がかかるタイトルを開幕2連勝とし、昭和のレジェンド・故大山康晴15世名人の大記録「タイトル戦20連勝」まであと2勝とした。第3局は27、28日に島根県大田市「さんべ荘」で行われる。
本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。
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藤井王将の「マムシのと金」が光りました。敵陣の4筋に打ち込んだ歩を見て、あっと驚きました。「間に合わない」と直感していました。実はこれが決め手でした。ジリジリとにじり寄って、菅井八段が金銀をひし形にして組んだ「ダイヤモンド美濃」を攻略しました。アマチュアのお手本となるような手で、完勝しました。
将棋には「と金の遅早」という格言があります。と金を作って攻めに使うまでは時間がかかりますが、攻めがつながる形になってからは早いという意味です。本当に見事な攻めでした。
菅井八段は、4筋に跳ねた桂馬を敗着に挙げていました。別の手を考えていたそうですが、「気が変わって悪手を指したという経験は、私はありません」。残念な一戦になりました。
昨年の叡王戦5番勝負第4局の2回の千日手指し直しも含め、タイトル戦では8回連続で三間飛車を採用しています。こだわりがあるのでしょうが、藤井王将が菅井八段への対策として組んだ「居飛車穴熊」があまりにもうまい。相手との攻めのスピード判断に優れています。
大山康晴十五世名人をはじめ、数々の振り飛車の名手と戦ってきた経験から言いますと、四間飛車の方が、居飛車側はこれといった対応策がありません。気分転換の意味も込め、新たな戦術の採用を考えてはいかがでしょうか。