【ひふみんEYE】藤井聡太棋王の優れた局面判断 巧みなディフェンス網が「にらみ」にも

棋王戦5番勝負第2局の終局後、感想戦を行う藤井聡太棋王(左)と伊藤匠七段(撮影・松浦隆司)

<ひふみんEYE>

将棋の藤井聡太棋王(竜王・名人・王位・叡王・王座・王将・棋聖=21)が同学年の伊藤匠七段(21)の挑戦を受ける第49期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第2局が24日、石川県金沢市の「北國新聞会館」で行われ、後手の藤井が伊藤を破り、今シリーズ初勝利を挙げた。対戦成績は1勝0敗1分とした。第3局は3月3日、新潟県新潟市「新潟グランドホテル」で行われる。

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藤井棋王の会心の勝利とみていいでしょう。開幕局の持将棋引き分けは、帳消しです。伊藤七段の先制攻撃に対して自玉が不安定になりましたが、巧みにしのぎました。角、銀、桂、歩で6~7筋にディフェンス網を敷いて、しっかり受ける。「ここで踏ん張れる」と判断する能力が優れています。それらの駒は、のちのち相手玉に対しても「にらみ」が利いている状態にしていくのですから。

攻撃に転じるタイミングをつかみ、チャンスととらえてからの仕掛けで寄せ合いになったら、めっぽう強いです。角換わり腰掛け銀への対応は、相変わらずさえてますね。次は先手番ですし、やはり得意の角換わりを採用するんじゃないでしょうか。5番勝負の短期決戦ですから、次の先手番で連勝したら、流れは一気に傾きます。

これで藤井棋王に9戦8敗1分けと、まだ白星がない伊藤七段ですが、藤井棋王が朝日杯決勝(今月10日)で敗れた矢倉のような戦法を採用してみてはどうでしょう。奮起に期待します。(加藤一二三・九段)