<ひふみんEYE>
藤井聡太名人(21)が初防衛を果たした。27日、北海道紋別市「ホテルオホーツクパレス」で行われた、将棋の第82期名人戦7番勝負第5局で挑戦者の豊島将之九段(34)を下した。
本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(84)が対局を振り返ります。
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藤井名人が1人で将棋を指しているような感じでした。シリーズ5局中、一番の圧勝劇でしたから。豊島九段の振り飛車を想定した穴熊の対応は、絶妙でした。穴熊の堅さを満天下に改めて示したといっていいでしょう。結果的に1度も王手をかけられていませんし。
穴熊をベースにして、6筋の歩をタダで取らせています。この道70年の私でさえ、お目にかかったことはありません。これが「藤井流」。序盤で1歩損しても、これが後の2筋への角の転換という味付けを見越していました。
戦いが進み、6筋の急所に香、金と相次いで打ち込んでいます。香打は穴熊という堅陣を基にした強硬手段。金打は最初「何なの?」と思いましたが、豊島陣の美濃囲いを崩す継続手で、ともに成立しました。
タイトルを獲得する前の藤井名人は久保利明九段、菅井竜也八段、今泉健司五段らの振り飛車党に苦戦していました。対局を経て研究を重ね、今回の防衛につながりました。
31日の叡王戦は重圧もあるし、確実に有利に戦いたいという心理的な負担もあるはずです。名人初防衛の後、初めてのかど番でどう戦うのか注目しましょう。(加藤一二三・九段)