ガソリン代の高騰が続く中、新たな不安要素が一時、報じられた。イスラエルが、イランの核施設への攻撃を準備していると米CNNが20日に報道した直後、国際原油価格が約2%急騰した。
国際原油価格の基準の1つ、ブレント原油は21日、インターコンチネンタル取引所(ICE)で、午後1時半基準で、前日の終値より2%ほど値上がりし、1バレル当たり66・62ドルを記録した。同時刻、ニューヨーク商業取引所でも、米国テキサス産原油(WIT)も前日より2%近く上昇し、1バレル当たり63ドルを超えた。一時は1バレル当たり64ドルを上回った。
いずれも、CNNが匿名の政府関係者の話として「米情報機関がイスラエルのイラン核施設攻撃準備の正確を把握した」と報じた影響とみられる。ただCNNは「まだイスラエル首脳部がイラン攻撃に対する最終決定を出したかどうかは不透明だ」と付け加えた。その後は上昇は続かず、61ドル台に戻った。
今月初めには、国際原油価格は1バレル当たり50ドル台まで下がった。米国発の「関税戦争」により世界経済が鈍化の兆しをみせ、原油需要が減るという展望が出ていた。
その中で起きた一時的な急騰。市場が不安定になっている要因のひとつとしては、現在膠着(こうちゃく)状態にある米国とイランの核交渉が指摘されている。イランは石油輸出国機構(OPEC)加盟国中、第3位の原油生産国で、両国は先月12日から計5回交渉した。しかし、イランのウラン濃縮計画をめぐって、完全停止を求める米国と、平和利用目的での運用を継続したいイラン側の意見が食い違っている。そこに今回のCNN報道が出たことで、一時的な急騰があったとみられている。
今後、米国とイラン間の核交渉が妥結すれば、安定的な原油の供給が見込め、価格が大幅に下がる可能性がある。しかし、イスラエルがイランの核施設を実際に攻撃した場合には、核交渉そのものが中断される可能性が大きいだけでなく、中東地域の安全保障が不安定になり、原油価格の変動性がさらに大きくなる懸念もある。ロイター通信も「イスラエルによる攻撃はイランからの原油供給を混乱させる可能性がある」と指摘している。