“万博おばあちゃん”皆勤賞宣言「184日間、毎日通います!!」“攻略法”も明かす

大屋根リングをバックにする山田外美代さん(撮影・松浦隆司)

<情報最前線:ニュースの街から>

過去20年で7つの万博に通い「万博おばあちゃん」と呼ばれる愛知県瀬戸市の山田外美代さん(76)は大阪・関西万博でも「皆勤賞」を狙う。05年に地元で開催された愛知万博に毎日通ったことをきっかけに万博の魅力にハマり、中国・上海万博、韓国・麗水(ヨス)万博にも毎日訪れたことで有名になった。今回の万博の「攻略法」も聞いた。

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★4時半起床

山田さんの朝は早い。午前4時半ごろに起床し、約1時間をかけて、ゆっくりと朝食をとる。準備を整えると、昨年12月に夫と息子とともに一時移住した会場近くの大阪市の団地から、午前9時の開場を目指して出発だ。

「パスポートなしで世界の人と交流できるのも万博の醍醐味(だいごみ)の1つ。その日にしか会えない人もいる。1回しか来ることができないという思いで、1日1日を楽しんでいます。今回も184日間、毎日通います!」

花柄の白い帽子にスラックス姿。取材した日は、快晴で最高気温の予想は27度。「ハイキングのような動きやすい格好がいい」とスニーカーだ。会場を一緒に歩いていると、男子中学生から「あっ! 万博おばあちゃん」と声がかかると、笑顔で近寄り、「どこ、見てきた?」。年齢差は関係なし。海外パビリオンの話題で盛り上がった。

★万博ノート

一期一会-。万博を楽しみ、帰宅してからの日課がある。自作の「万博ノート」にその日の出会った人や、印象に残ったことを毎日、つづる。「息子がノートに張ってくれた写真の横に名前を思い出しながら、丁寧に書きます。どうしても思い出せないときもありますよ(笑い)。そのときは息子に助けてもらいます」

05年に地元・愛知で開催された「愛・地球博(愛知万博)」との出会いが、人生を大きく変えた。

「それまでは病気がちで5度も手術をしたんです。かかりつけの医師から『散歩がてらに毎日行ってみたら』と勧められた」

自宅からバスで10分の愛知万博に毎日通うようになり、海外パビリオンのスタッフらと交流を深めた。結局、全185日休まず、来場。それ以来、すべての万博に通うようになり、自費で現地にマンションを借りた10年中国・上海万博、12年韓国・麗水万博に続き、大阪・関西万博で4度目の皆勤を狙う。

「衣装でも展示品でも何でも、気になったことがあったら海外パビリオンのスタッフに『これ何?』って聞いてほしい。みんな、自分の国を知ってほしくてうずうずしている。知らない習慣や生活、もっと奥深いところ、その国の良さが分かってくる。きっと新たな発見があるはず」

万博おばあちゃんは今日も元気に万博に通う。【松浦隆司】

■「朝一リング」は回避 開場後1時間が勝負

5月28日、会場内にある190以上あるパビリオンをすべて制覇した。4月13日の開幕から46日目で達成だった。「パビリオンが発信しているメッセージを1つ1つ丁寧に見て回りたい」。いまは2巡目の観覧に入っている。

オススメの見学術がある。「朝一番にリングに上ったら負け。早すぎる。リングは予約なしで、いつでも上れるので、時間がもったいない」。

“朝一リング”を回避するには理由がある。「予約不要のパビリオンは朝が狙い目」だからだ。開場9時から約1時間が比較的、空きがあり、どれだけ観覧できるかが勝負の分かれ目になるという。多くのパビリオンが事前予約制を採用しているが、最近は「朝の早い時間帯に予約なしに入れるパビリオンが増えてきた」。

正午に近づくと、どのパビリオンも行列ができる。昼食は持参したおにぎり。各国料理のレストランは「混むので時間が無駄」。混雑する昼間は休憩所で休み、体力を温存したい。午前の早い時間とともに、もう1つの狙い目は団体客が帰る夕方以降だ。その後、リングから「夕日や夜景を楽しんで」とアドバイス。ライトアップされたパビリオンが幻想的な雰囲気を醸し出す。

■推しパビリオン紹介 セルビア「奥深い」

○…「万博おばあちゃん」の「推し」パビリオンは多い。レオナルド・ダ・ビンチの直筆スケッチなどが展示されるイタリアパビリオンは「とにかく本物が見ることができる」。最も注目しているのはセルビアパビリオン。大阪・関西万博など5年に1度の「登録博」の間に開かれる小規模な「認定博」が27年、セルビア・ベオグラードで開催される。「テーマは“遊び”だけど、これがけっこう奥深い」といい、「最後にセルビア国旗を表す記念品のビー玉をいただきました」。

■大使引っ張りだこ

○…今回の万博では山田さんは「大使」などの大役を担い、PR役も引き受けている。関西パビリオンのブースに10トンの砂を敷き詰めている鳥取県からは「サンドおばあちゃん(Sandma)」を任命され、砂にまつわる出展を行う国や地域へ「サンドアライアンス」(砂同盟)の加盟をサポートしている。大阪観光局からは大阪・関西万博のPR大使を委嘱され、「万博PR大使」に就任。会場のある夢洲の大阪市此花区からは「此花区 万博広報大使」に任命された。

◆大阪・関西万博 会場は大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)。敷地は甲子園球場40個分。シンボルとなる環状の大屋根リングは1周2キロ、直径約675メートル、幅30メートル。リングの中に161の国や地域が集う。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。健康、医療、AI(人工知能)や多言語対応で人類共通の課題の解決策を具現化する技術やアイデアが紹介されている。

◆山田外美代(やまだ・とみよ)1949年(昭24)、石川県白山市(旧鶴来町)生まれ。幼少期に父の仕事の都合で愛知県瀬戸市へ。夫と息子の3人で毎日欠かさず大阪・関西万博に通っている。過去20年で7万博の会場で計500日超を過ごした。大阪では地元の人とコミュニケーションをとれる銭湯通いにもハマっている。