気象庁は、5日に鹿児島・トカラ列島の近海で最大震度5強を観測した地震について同日、会見を開き、SNS上で騒動化している「7月5日に大災難が起きる」という予言について、「全くの偶然」とし、科学的根拠を否定した。会見は気象庁公式YouTubeでも配信された。
地震は5日午前6時29分ごろ発生。トカラ列島近海の深さ19キロメートルが震源で、十島村(としまむら)の悪石島で震度5強を観測したほか、県内で震度3~1を観測した。
会見では、地震の状況確認に続いて、記者から「例の国内外で広まっている『予言の日』がまさに今日ということなんですけど、実際に地震も起きて、不安に思っている人もいるかと思うんですが、あらためてメッセージありましたらお願いします」と質問が出た。
気象庁の担当者は「まず、漫画の予言についてですけれども、現在の科学的知見では、日時・場所・規模を特定した地震予知というのは困難です。ですから、地震が偶然に発生したとしても、科学的根拠のあるものではありません」と明言した。その上で「他方、日本はいつでも地震が起きるという可能性がありますから、皆さま方には、日頃からの地震への備えをお願いしたいと思います。以上です」と注意を呼びかけた。
その後、別の記者から「予言との関係なんですけど、今日7月5日で大きめな地震が起きたけれども、たまたま、偶然だという認識でよかったですか?」と再確認されると、担当者は「全くの偶然です」と再び明言。「一般的な話をします」と前置きし「まず、日本では震度1以上の地震は1年間でだいたい2000回ぐらい発生します。多い時には2016年ですけど6587回、震度1以上の地震が発生している。ということは、多い時には1日10回以上、どこかで震度1以上の地震が日本で発生するということです。ですので予言を言っているとたまたま当たることはある。問題は因果関係があるかですけど、因果関係はありません」と説明した。 気象庁は「そのような科学的根拠がない情報には、少なくとも、今テレビをご覧になられている方には、そのような考えを持たないように、科学的知見に基づいて判断してほしいですし、私たちは知っていることはお伝えをしていますし、分からないことは分からないと言います。ぜひ最新の情報に接するようにお願いしたい」と訴えた。
この騒動は、漫画家たつき諒氏が21年に出版した「私が見た未来」(飛鳥新社)の内容が発端。たつき氏が見たという予知夢の中の話として「太平洋周辺の国に大津波が押し寄せました。その津波の高さは、東日本大震災の3倍はあろうかというほどの巨大な波です」「その災難が起こるのは、2025年7月です」と伝えた内容が拡散した。たつき氏が予知夢を見た時刻が7月5日午前4時18分としていたことから、同時刻に何かが起こるのでは、という臆測も広がった。たつき氏が99年に出版した「私が見た未来」に「大災害は2011年3月」と書かれていたことから、東日本大震災を予言したとする声が上がったことも、拡散を加速させた。
5日早朝には「予言の時間」「予言の日」などがXのトレンド入りした。同書は中国語版も出版されており、香港からの訪日客が急減するなどの影響が出ている。