卒業?中退?除籍?「伊東市長の学歴問題」大学に卒業証明書申請し、発行してもらえば済むだけの話

田久保真紀氏のXから

<鳥海高太朗の静岡深掘り>

連載「鳥海高太朗の静岡深掘り」第7回は、「伊東市長の学歴問題はなぜこんなに混乱しているのか」がテーマです。月2回の連載で、航空・旅行アナリスト鳥海高太朗氏(47)が、静岡に関する身近な話題を分かりやすく解説。お得な情報もお伝えします。

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学歴詐称疑惑で揺れている伊東市の田久保真紀市長(55)。百条委員会から求められた「卒業証書」は18日午後4時に提出期限を迎えたが提出を拒んだ。一連の学歴詐称疑惑において、この百条委員会は第2章。第1章は伊東市の広報誌における新市長紹介の略歴で、「平成4年東洋大学法学部卒業」の表記は虚偽ではないかとの指摘からスタートした。卒業」「中退」「除籍」のどれが真実なのかとの議論があった。

私も大学教員をしている。07年から6年間、千葉・城西国際大で助手として大学事務の業務も兼務した。経験上、確認は実は簡単だ。卒業証書や卒業アルバムよりも指摘をされた時点で、東洋大に卒業証明書を申請し、発行してもらえれば済むだけの話。卒業できていなければ、発行されない旨が通知されるだけ。実にシンプルな話であり、ここまで大きくこじれることではなかっただろう。

「中退」と「除籍」の違いにも触れる。中退は自分の意思で次のステップに進みたい時、これ以上在籍しても卒業が難しい時など中退届を提出した上で、自主的に大学から離れることを意味する。辞める年度までの授業料に未納がないことが条件となり、仮に将来、復学したい時に原則取得した単位は有効となる。

一方、除籍は大学側から辞めてもらう措置であり、私の経験上、除籍のほとんどは授業料未納によるもの、大学在籍可能な年数を超えた場合などになる。除籍は大学に所属していたこと自体が原則抹消されるので、在籍証明書や成績証明書も原則発行されない。中退であれば大学に通っていたこと自体を公にすることは問題ないが、除籍であれば在籍していたこと自体、本来はなかったことになる。

田久保市長は東洋大に確認した上で除籍であることを発表している。考えられることは大学4年時に卒業を見込めないことから授業料未納にしたのか。もしくは留年して5年目の授業料が未納だったのか。いずれかの可能性が高いだろう。

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【百条委員会の論点】

第2章となる百条委員会での論点は、伊東市議会議長らに対し、卒業証書や卒業アルバムをチラ見せしたことで、本物なのか偽物なのかという点だ。正直、卒業アルバム自体は厳密に卒業事実の有無の証明としては難しい。卒業証書は卒業の証明となる。仮に卒業証書が本物であれば、東洋大側の責任も問われることになるが、その可能性は低いだろう。

私の経験からは、卒業証書を授与することにあたり、卒業に必要な単位取得を確認。最後の試験後に卒業確定を発表する。その後、卒業式前に授業料未納などの問題がないかも必ず確認する。厳密な運用がされていることから、卒業をしていない人に卒業証書を発行することは考えられない。

今の問題は、田久保市長がなぜ卒業証書をチラ見せしたのかという点である。チラ見せがなければ、除籍の事実を認め、辞職した上で出直し選挙に出馬し、市民の判断を仰ぐ流れになる。一方、議長にチラ見せした卒業証書が事実と異なるものであれば、新たな虚偽報告となり、その責任も問われる。この問題には「グレー」という結論はない。「白」か「黒」のどちらしかなく、事実だけがあることなのだ。

◆鳥海高太朗(とりうみ・こうたろう)1978年(昭53)7月17日、千葉県生まれ。成城大卒。航空・旅行アナリスト、帝京大理工学部非常勤講師。航空会社のマーケティング戦略を主研究に、自らも国内外を巡りながら体験談を中心に各種雑誌・経済誌などで執筆している。静岡第一テレビ「every.しずおか」のコメンテーターとして静岡県内も精力的に取材している。