「鋼のメンタル」石破首相VS石破おろし 両院議員総会開催を決定、自民は先読めぬ権力闘争へ

石破茂首相(2025年7月撮影)

自民党は29日、党大会の次に重要な意思決定機関である両院議員総会の開催を正式決定した。参院選大敗を受け、石破茂首相(党総裁)の辞任を求める勢力が開催を求め、執行部は追い込まれた形だ。ただ党側は、総会で総裁の身分を失わせることはできないとしており、「石破おろし」推進派は、総裁選の前倒しが可能な「総裁リコール」に必要な署名集めに意欲をみせる。執行部も「石破おろし」派も、先が読めない手探りの権力闘争に突入した。

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4時間半にわたり紛糾した「意見交換」の両院議員懇談会から一夜明け、自民党は「懇談会」と異なり議決権のある「総会」の開催を決めた。森山裕幹事長は会見で「昨日の懇談会でそういう意見があった。意見を尊重すべきだ」と述べた。8月に行われる見通しで、議題は今後、党側と議員側が調整する。

「総会」ではなく「懇談会」で乗り切ろうとした執行部だったが、党内の辞任圧力に追い込まれた形。ただ党側は28日の懇談会で「総会」の位置づけをめぐり、総裁の身分を失わせるような場ではないという趣旨の説明を行った。「総会」での「石破おろし」は非現実的だという「けん制」と、受け取った向きもある。

一方で、党則には「総裁の任期満了前に、党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求があったときは、総裁が任期中に欠けた場合の総裁を公選する選挙の例により、総裁の選挙を行う」とある。「総裁リコール規定」と呼ばれるもので、石破おろし勢力の間では、この規定を実現するのに必要な署名集めを目指そうとする動きも出ている。

同規定は、超低支持率だった森喜朗首相(当時)の自民党総裁交代がかなわなかった経緯から、02年に党則に加えられた。自分たちが選んだ総裁を引きずりおろし、身分を奪うことにつながりかねず、過去に適用されたケースはない。「総会」の場で総裁選の前倒しを求めることにも、執行部側は否定的だが、続投方針を崩さない石破首相をめぐり、そんなハードルの高い「禁じ手」(関係者)にも関心が集まっているのが、今の自民党の現実だ。

ののしられ、辞任要求を突きつけられた「懇談会」を乗り越えた石破首相だが、「総会」では再び、強い辞任圧力にさらされる。それでも、この日、「丁寧にご説明する、真摯(しんし)にご説明する、逃げずにご説明することに尽きます」と、「ご説明方針3か条」に触れながら総会に臨む心構えを語った。

「想像以上に鋼のメンタル」(自民党関係者)と言われ始めた石破首相と石破おろし勢力の権力闘争は深刻化する一方だが、先は読めない。【中山知子】

〇…両院議員総会開催要求に必要な党所属議員の署名を中心になって集めていた笹川博義農水副大臣は29日、取材に「幹事長に英断を下していただいた」と述べ、集まった120人超の署名は今回は提出しない考えを示した。総会が「1回で終わるとも、なんとも言えない」として、再び開催を求める必要が生じる場合を念頭に「温存」する構えを示した。総裁選前倒しが可能となる党則の「リコール規定」に向けた署名集めを行うか問われると「両院議員総会がどういう形で終わるのか。執行部のご判断がどういうものになるのかがポイント」と、述べるにとどめた。