静岡県の今年の富士山入山料収入は約4億円見込み 効果と今後の課題は/鳥海高太朗氏

富士山=静岡市内(2025/09/24)

<鳥海高太朗の静岡深掘り>

連載「鳥海高太朗の静岡深掘り」第12回は「静岡県の今年の富士山入山料収入は約4億円の見込み。今後の課題は」がテーマです。月2回の連載で、航空・旅行アナリスト鳥海高太朗氏(47)が、静岡に関する身近な話題を分かりやすく解説。お得な情報もお伝えします。

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9月10日に今年の富士山登山が終了し、静岡県は入山者数の速報値を発表した。約10万3000人で、今年から静岡県側でも徴収を始めた入山料収入(1人4000円)が約4億円になると見込んでいる。県が5月に発表した見込み通りになりそうだ。

静岡県側(富士宮口、御殿場口、須走口の各登山口)からの登山者向けに、事前登録システム「静岡県FUJINAVI」を導入。入山料オンライン決済に加え、登山情報の登録、オンライン(eラーニング)での事前学習及び富士山テスト、入山に必要な入山証の発行(QRコード)までをアプリ上で行うことで、スムーズに登山できる体制を整えた。

事前登録をしていない場合、登山口で登録や入山料支払い、動画もしくはテキストで学習後に富士山テストを受ける必要がある。静岡県の発表によると、同県側の登山者の82・5%がアプリで手続きを行っており、初年度としては外国人観光客も含めて、早い段階でアプリでの事前登録が浸透したことは大きな成果だっただろう。

有料化最大の効果は事故が大きく減少したことだ。死亡した遭難者は昨年は6人だったが、今年は0。また、入山料導入とともに、オンライン学習の効果、午後2時~翌日午前3時の山小屋に予約がない人の登山禁止も、遭難者数の大幅減につながっている。問題になっていた弾丸登山や軽装登山などの危険行為の防止を目指した成果が数字に表れている。

今年の4億円の収入は、システムの開発費用やスタッフの人件費などの経費を引いた上で、富士山の環境保全、ゴミ対策、トイレの設置などに使われる予定だ。

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今後の課題は来年の入山料を4000円に据え置くかどうかだ。高すぎるとの声はほとんど聞かれず、5000円以上でもいいのではとの声すらあった。一方、6、7合目付近で折り返して戻る人にとって高いのではとの声も聞かれたが、現在の仕組みで判別するのは難しいだろう。

今後、実態を調査した上で、来年以降の入山料が議論されることになる。日本人、外国人問わず、今年登山した人が来年登山する場合に適用されるリピーター割引の導入、静岡県民及び山梨県民の県民割などがあってもいい。リピーター及び県民に割り引きし、通常の入山料を5000円以上に値上げする方法もある。

値上げすることで、富士山の環境保全にお金をより投じることができるなどメリットも大きい。また最近、問題になっているのが閉山期間中に強行登山をして、登山中に遭難するケースだ。今年も開山期間前に遭難して救助を求めた事例があった。ルール違反者の救援費用を税金ではなく自己負担にさせるなど、違反者への厳しい措置の検討もするべき時期に来ている。

◆鳥海高太朗(とりうみ・こうたろう)1978年(昭53)7月17日、千葉県生まれ。成城大卒。航空・旅行アナリスト、帝京大学理工学部非常勤講師。航空会社のマーケティング戦略を主研究に、自らも国内外を巡りながら体験談を中心に各種雑誌・経済誌などで執筆している。静岡第一テレビ「every.しずおか」のコメンテーターとして静岡県内も精力的に取材している。