藤井聡太王座(23)が同学年の伊藤匠叡王(22)の挑戦を受ける。将棋の第73期王座戦5番勝負第4局が7日、神奈川県秦野市「元湯陣屋」で行われた。午前9時から始まった対局は、もう負けられない先手の藤井が午後8時3分、99手で伊藤を下した。かど番をしのいで2勝2敗に追いつき、フルセットに持ち込んだ。このまま大逆転で防衛して3連覇を達成するのか。王座戦初挑戦の伊藤が昨年6月の叡王戦5番勝負に続いて最終局を制し、王座を奪取するとともにタイトル獲得通算3期として九段に昇段するか。最終第5局は28日、甲府市「常磐ホテル」で行われる。
藤井が望みをつないだ。開始早々、伊藤が4筋に角を繰り出す前例のない形に持ち込む。注文をつけられたが、じっくりした戦い方を選んで、冷静に対応した。「主張を通された。珍しい形でどう判断するか難しい将棋でした」。負ければタイトル戦初の同一対局者3連敗を喫するとともに、昨年6月20日の叡王失冠から475日で6冠(竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将)へと後退するところだった。
開幕局こそ快勝だったが、第2局は読みになかった伊藤の渋い受けから逆転を許した。第3局は最後の寄せ合いでお株を奪われる終盤力を見せつけられた。第4局は「対応力」を発揮できた。今月3、4日の2日制で行われた竜王戦7番勝負第1局(東京都渋谷区)で佐々木勇気八段を圧倒している。弾みをつけて連勝した。
現在タイトル獲得通算31期。渡辺明九段と肩を並べて、将棋界歴代4位タイ(トップは羽生善治九段の999期、2位大山康晴15世名人84期、3位中原誠16世名人60期)だ。王座を防衛すれば32期となり、単独4位に躍り出る。その権利が残った。
7番勝負で最終局までもつれ込んだことがない藤井だが、1日制5番勝負は21年9月の叡王戦で豊島将之竜王(当時)に勝ち、昨年の叡王戦では伊藤に敗れている。しかも、常磐ホテルでの対局は2連敗と、日ごろの勝率に比べるとひと息だ。ジンクスを吹っ飛ばせるか。「実力を高めて(第5局を)迎えられるようにしたい」。かけ持ちする竜王戦をはじめ、ほかの公式戦をこなしながらコンディションを整える。