高市早苗首相(64)は24日、衆参両院本会議で、就任後初の所信表明演説を行った。身内からの援護射撃が乏しかった石破茂前首相と対照的に、自民席は大拍手と「よーし」などの合いの手でまとまり、これに野党は猛烈ヤジで対抗。議場が騒然とし、首相が一時演説を止める場面もあった。内容に関しては、首相の考えに近い野党からも「正直がっかり」の声が出るなど具体性に欠けた。高市首相は結びに、和を重んじた聖徳太子の言葉を引用。野党と対話にも応じる柔軟さをアピールしたが、来月上旬の代表質問では厳しい追及を受けることになりそうだ。
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衆院の所信表明演説では、高市首相が本会議上の演壇に立つと、自民席から「よーし」「頑張れ」と激励の声が乱れ飛んだ。連立を組んだ日本維新の会の議員も、少し離れた席から拍手を送る中、首相は「日本と日本人の底力を信じてやまない者として日本の未来を切り開く責任を担い、この場に立っている」と切り出した。
「強い経済をつくり、日本列島を強く豊かにする。絶対にあきらめない決意を持ち、国家国民のため果敢に働いてまいります」と、自民党総裁選出後の演説で5連発した「働いてまいります」ワードを再び口にすると、自民席は再び大きく沸いた。
「政治の安定」を強調し、「政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案をお受けし、柔軟に真摯(しんし)に議論する」と主張。「政治への信頼回復のための改革にも全力で取り組む」とも述べたが、野党からは「裏金を解決しましょうよ」とヤジが。与党が反論し、議場は騒然となった。高市首相は一瞬、演説を止めたが、「国家国民のためなら決してあきらめない。これが、この内閣の不動の方針です」と、持ち前の「目力」でにらみをきかせるようにアピールした。
手元の紙をほぼ棒読みで、拍手より野党のヤジが目立った石破前首相の所信表明とは、議場の景色が一変。高市首相は手元に目を落としつつ、時折「目力」で議場を見回した
物価高対策のほか、安全保障、外国人政策、防衛3文書の前倒し改定など肝いり政策に言及。安倍晋三元首相の著書と同じ「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」を口にし、安倍氏の地元山口ゆかりの吉田松陰の言葉を引用するなど、安倍氏に寄せた「高市カラー」をにじませた。
最後は、聖徳太子の「十七条憲法」の一説「事独り断(さだ)む可(べ)からず。必ず衆(もろとも)と与(とも)に宜(よろ)しく論(あげつら)ふ可(べ)し」を引用。「政治は独断ではなく、ともに語り、悩み、決める営み。各党のみなさまと真摯(しんし)に向き合い未来を築く」と、野党にも向き合う姿勢を示したが、政治とカネの問題や、維新の主張をそのまま受け入れた議員定数削減など微妙な案件への言及はなかった。テーマは多岐にわたったが、「強い気持ちは伝わったが抽象的な内容が多い」(国民民主党の玉木雄一郎代表)と、野党の評価は一様に辛口だった。
高市首相は今週末から来週にかけて、外交デビューが待ち受ける。それを終えた後の11月上旬に行われる代表質問で、野党はこの日の演説内容を追及する方針だ。初の与野党論戦が、高市首相にとってデビュー戦にして最初の大きな正念場となる。【中山知子】