伊藤詩織さん監督作、元弁護団が海外で未修正版発売、航空機で上映、国内上映動き指摘し説明要求

伊藤詩織さん(2025年3月撮影)

ジャーナリストの伊藤詩織さん(36)が、監督を務めたドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」(BBD)をめぐり、一部の証言映像を許諾を得ずに使用したことへの謝罪文を25日に公表したことについて、15年4月に元TBS記者の男性から受けた性的暴行被害についての民事裁判で弁護を担当した元弁護団の西廣陽子加城千波凌弁護士と代理人の佃克彦弁護士が28日、文書で声明を発表した。

元弁護団側は、今年2月29日に都内の日本外国特派員協会で会見を開き、伊藤さんが被害現場とされるホテルの防犯カメラ映像、捜査官Aの音声と映像、タクシー運転手の音声と映像、弁護団の音声と映像を本人やホテルの許諾なしに使用したと指摘。また、海外では公益通報者にあたる捜査官やタクシー運転手、裁判で代理人弁護士を務めてきた西廣弁護士に関する無断録音や無断録画などがさらされている映像が、流され続けていると指摘。問題点を指摘し、削除と修正を求めていた。

伊藤さんは、25日に発表した謝罪文の中で、加害者らを目撃したタクシー運転手の証言映像を本人に無断で撮影し、本人に電話を試みたが半年以上連絡が取れなかったため、そのまま映画に使用したことを認めた。その点について謝罪した上で「新しいバージョンの使用をお許しいただいた」と説明した。

元弁護団は、そのことに一定の評価をした一方で「しかし、その他の問題点についてどのようになっているのかの説明がないのは極めて残念です」と主張した。

伊藤さんは、元弁護団側が会見を開いた同日に、同し日本外国特派員協会で会見を開く予定だったが、体調不良を理由に欠席し文書を発表した。その中で「最新バージョンでは、個人が特定できないようにすべて対処します。今後の海外での上映についても、差し替えなどできる限り対応します」と問題点の修整、差し替えを約束していた。

ただ、元弁護団側は「BDD」に関して「昨年10月の会見で私たちは、<1>タクシー運転手の映像の件以外に、<2>ホテルの防犯カメラ、<3>捜査官A、及び<4>西廣の映像の各問題を指摘しました」と、許諾がないまま使用された映像があったと改め指摘。「会見から1年を経過した現在もなおこれら<2>~<4>の点につき、伊藤氏の意向や現状は明らかにされておりません」とした上で「少なくとも、今夏にフランスで発売された映画のディスクを私たちが確認したところ、その内容は、当初から私たちが問題としているオリジナル版のままでした」と、修整がなされていないと明らかにした。

さらに「この声明以降、上記のフランスのディスク以外にも、キャセイパシフィック航空及びカンタス航空の機内並びにピースボートの船内映画チャンネルでBBDのオリジナル版が上映されていたという指摘が方々でなされています」と、海外の航空会社の機内サービスで、無修正版が上映されているとことも明らかにした。その上で「上記声明から既に8か月以上経過している今、伊藤氏には経緯と理由の説明が求められます」と、伊藤さんに改めての説明を求めた。

元弁護団側は「私たちは、フランスでのディスクの販売とキャセイパシフィック機内での上映の話に接した本年6月以降、伊藤氏側に対し、そのような事実の有無や、その映画がオリジナル版のままであるか等について再三問合せをしました」と、問題点に関して伊藤さん側に問い合わせを続けていたことも明らかにした。ただ伊藤さん側からは、問い合せに対する回答はなく「3か月経過後の9月になって代理人弁護士から「『伊藤氏自身の口から、西廣氏に直接ご説明申し上げる』ので日程調整したいとの返答が来ました」と説明した。

さらに「自身との会話を無断で録音された西廣は、伊藤氏本人との直接のやりとりではなく代理人同士のやりとりを望んでおり、伊藤氏の代理人に対し、書面で速やかに回答をして頂きたいと求めていました」と伊藤さんの代理人弁護士とのやりとりを求めたことも説明。ただ「かかる次第で上記6月以降、当方から伊藤氏側に対して送った申入れの文書は計14通に及びますが、本日現在、伊藤氏側からはこちらの問合せに対する回答はありません」と、14回の連絡も回答はないとした。

元弁護団側は「とりわけ、BBDがT・ジョイ品川(東映・スターサンズ配給)で近々上映されるという情報に私たちは接しており」と、伊藤さんが実現できないままでいた日本国内での上映に動いているとの情報を得たと指摘。「伊藤氏側の説明は急務です」と訴えた。そして「私たちが伊藤氏に対して最初から一貫して求めているのは、“会って謝罪”ということではなく、“許可のとれていない音声・映像は許可をとってほしい。許可がとれないものは編集・削除してほしい”ということです。この点がどうなっているのかについては、伊藤氏の代理人が責任を持って正確な内容を私たちに返信してほしいと思います」と強調した。