<鳥海高太朗の静岡深掘り>
連載「鳥海高太朗の静岡深掘り」第15回は「中国人観光客減少、静岡空港発着便にも今後影響が出る可能性も」がテーマです。月1回、航空・旅行アナリスト鳥海高太朗氏(47)が、静岡に関する身近な話題を分かりやすく解説。お得な情報もお伝えします。
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高市早苗首相の台湾有事に関する衆議院予算委員会の発言によって、中国側は自国民の日本への旅行自粛を呼びかけた。その直後から団体旅行を中心にキャンセルが相次いでいるが静岡県内への影響を考える。
中国との直行便が就航する静岡空港では、現在の中国路線は2路線のみで、上海へ中国東方航空が週3往復、青島へ青島航空が週1往復で運航している。旅行自粛要請が出ているものの現時点では通常通りに運航されている。
かつて、静岡空港は中国路線中心だった時代もあった。特に最も多くの中国人(香港を除く中国本土)が静岡空港に入国したのは2015年の13万9413人で(法務省出入国管理統計より、以下同様)、毎日静岡空港には多くの中国便が飛来していた。国内線よりも中国への便が多く、中国便が到着する時間帯には静岡空港ターミナルビル前に観光バスが沢山とまっていたこともあった。
その後、一部減便になったが、新型コロナ前の2019年に静岡空港に入国した中国人は9万175人だった。訪日外国人の約82%を中国人が占めていた。コロナが明け、2023年9月に中国東方航空の静岡~上海線が復活し、その後も中国路線は増えたものの、コロナ前の便数には届かず、2024年の中国人入国者数は1万4501人にとどまった。
直近では今年8月の月間入国者数は2057人となっている。現状では中国からの便は週4便のみとなっており、中国人旅行者が減少しても全体利用者に占める割合は低いことから、静岡空港自体の影響は大きくないが、団体旅行者のキャンセルが相次いでいる現状を考えると、今後減便・運休の可能性も十分に考えられる。
静岡県内の宿泊施設についても、静岡空港の中国線利用者が減少することで、一部影響が出る可能性があるが、それ以上に東京と京都、大阪を周遊する団体ツアーで静岡県内に宿泊が多いホテルにおけるキャンセルの影響が懸念され、今後拡大する可能性が高まっている。
○…静岡空港の国際線は現在、中国東方航空の上海便(週3往復)、青島航空の青島便(週1往復)以外では、チェジュ航空のソウル便が毎日2往復で運航しており、2025年の静岡空港におけるインバウンドについては韓国人が最も多い。
2024年12月に就航した香港の格安航空会社(LCC)である香港エクスプレスの静岡~香港線(週3往復)は今年10月25日で運休となり、国際線は現状3路線のみとなっている。
今後の静岡県内におけるインバウンドで重要な役割を果たすことになる静岡空港の国際線において、現在好調なのはソウル線。今年6月から1日2往復化が実現したことで、日本人・韓国人双方にとって利便性が高まり、利用者も増加している。
関係者によると、静岡空港を利用する外国人観光客の個人旅行化が進み、その比率が高まっている。特にソウル便はほとんどが個人旅行者となっている。中国路線についてもコロナ前に比べると個人旅行者が増えているが、団体旅行客も引き続き多く、今回の日本への旅行自粛の影響が来週以降、出ることになりそうだ。紅葉シーズンで日本を訪れる中国人も多く、その動向が注目される。
◆鳥海高太朗(とりうみ・こうたろう)1978年(昭53)7月17日、千葉県生まれ。成城大卒。航空・旅行アナリスト、帝京大学理工学部非常勤講師。航空会社のマーケティング戦略を主研究に、自らも国内外を巡りながら体験談を中心に各種雑誌・経済誌などで執筆している。静岡第一テレビ「every.しずおか」のコメンテーターとして静岡県内も精力的に取材している。