「プロ棋士の覚悟を決めた1手にはかなわない」作家柚月裕子 藤井聡太棋聖就位式で祝辞

藤井聡太棋聖就位式で祝辞を述べる作家の柚月裕子

将棋のヒューリック杯第96期棋聖戦5番勝負を制した藤井聡太棋聖(23)の就位式が25日、千葉県浦安市のホテル「グランドニッコー東京ベイ舞浜」で行われた。今期はタイトル戦初登場となった振り飛車党の杉本和陽六段(34)との対局となったが、3連勝で6連覇を達成した。

式では作家の柚月裕子が祝辞を述べた。将棋を題材にした推理小説で、坂口健太郎主演、渡辺謙、佐々木蔵之介らが出演している現在公開中の映画「盤上の向日葵」の原作者でもある。

棋聖戦は、藤井が初タイトルを獲得した5年前に初めて観戦した。「当時はマジックテープの財布を使っていた」と思い出話も披露。今期は開幕局(6月3日、栃木県日光市)を担当した。「年を重ねた重さなのか、表情に余裕を感じました」と語った。

また、藤井を軸に将棋を通した人間らしいシーンさも披露した。抽選会で顔なじみとなったファンの女性同士で声をかけ合うとか、第3局(6月30日、千葉県木更津市)にやってきた棋士に将棋ファンの父と子が写真をお願いして撮影に応じてもらい、タブレットで自撮りしてほほ笑み合う場面を例に出した。

盤上で織りなす人間ドラマについても、AIの研究で繰り出す最善手を引き合いに出した。「どんなにAIがいい手を指しても、プロ棋士が指す覚悟を決めた1手にはかなわない」と強調した。そのうえで、「多くの人が藤井棋聖に魅了されて応援している。私も応援していきます」とエールを送っていた。