今年1年を代表する言葉を選ぶ年末恒例「現代用語の基礎知識選 2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」のトップテンと年間大賞が1日、発表され、年間大賞に、女性初の内閣総理大臣となった高市早苗首相(64)の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」が選ばれた。時の首相の言葉が「年間大賞」に選ばれるのは、2009年の鳩山由紀夫首相(当時)の「政権交代」以来、16年ぶり。
東京都内での表彰式に出席した高市首相は、「年間大賞を賜りまして誠にありがとうございます」とあいさつ。「賛否両論いただきました」としながらも「働き方改革。とても大事な時期でございますが、自分も働いて国民の皆さまのために貢献したい、そんな思いがございました、決して多くの国民の皆さまに働きすぎを奨励する意図はございません」と強調した。
「働いて働いて…」は、10月4日の自民党総裁選で、こちらも女性初の党総裁に選ばれた直後、全議員に向けて演説した際のフレーズ。「全世代総力結集、全員参加。全員に馬車馬のように働いていただきます」と呼び掛け、「私自身も、ワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて、働いて、働いて、働いて、働いて、まいります」と述べた。仕事にまい進する決意への支持が集まる一方、「働き方改革」に逆行するのではと懸念の声も出るなど、国民の間でも賛否両論となった。
「飲み会参加より政策の勉強」が信条の高市首相らしさではあるが、首相の働き方には不安の声があるのも確かだ。11月7日の衆院予算委員会の準備に望むため、当日は午前3時すぎに公邸に入り、秘書官らと答弁内容の打ち合わせを行った。役所による答弁書が完成していなかったことや、従来、議員宿舎のファクスで答弁書を受けていたのが「だいたい10枚くらいで紙が詰まるやつ。あれしかまだ昨日の段階では、付いてなくて」と、驚きのデジタル環境まで表面化した。
答弁書作成に向けた質問の事前通告のあり方も、あらためてクローズアップされた。高市首相の「働いて」宣言は、働き方改革だけでなく「国会改革」への関心を、あらためて呼び起こすことにもなった。
総裁選出直後には公明党の連立政権離脱問題、首相就任直後はトランプ米大統領の来日など国内外での怒濤(どとう)の外交ラッシュが続いた。高市首相自身、先月13日の国会答弁で、自身の睡眠時間は「大体2時間から長い日で4時間。お肌にも悪い」と明かした。そのため、与野党問わず「上手にサボりながらやってほしい」「休むときは休んでほしい」とアドバイスが送られる事態に。最近は、ピーク時よりも時間に余裕が持てるようになったのではないか、という見方もある。
日本初の女性首相というプレッシャーは、周囲の想像を超える大きさとみられる。高市首相は今後も、歴代の男性首相が経験したことがない空気感の中で、歩みを進めていくことになる。
一方、高市首相は、上野賢一郎厚労相に「労働時間規制の緩和」について指示。国会では、「残業代が減ることで生活費を稼ぐために無理をして慣れない副業をすることで、健康を損ねる人が出ることについても心配している」と説明しているが、過労死遺族らからは懸念の声も出ており、今後の課題になっている。【中山知子】