高市早苗首相は27日の参院予算委員会で、再審制度を見直す刑事訴訟法改正に向けた政府案に、自民党内の事前審査で異論や反論が強まっていることをめぐり、「総理自身が(最終判断を)決断すべきだ」と指摘を受けた際に、「私ひとりが決断をして、みんな従ってください、と。自民党はそういう政党ではありません」と訴えた。
立憲民主党会派の泉房穂議員の質問に答えた。
高市首相は、今年1月に衆院解散に踏み切る際、自民党執行部にも根回しをしておらず、今月6日の同委員会で答弁した際、「自民党の執行部にも伝えていなかったので、みんな怒り狂っていた」と明かしたことがある。その際と「矛盾」するような答弁だったこともあってか、委員会室は大きくざわつき、委員長が「ご静粛に」と注意をする場面があった。
この日の質疑では、弁護士資格を持つ泉氏が、日本では「冤罪(えんざい)」事件を受けて再審無罪となるケースが続いているとして、再審制度の見直しに関して「今の法務省法案では、冤罪被害者はすぐに救われない。検察が持っている証拠をすぐに出し、抗告を禁じれば早まる。難しい話ではない」として、「与野党対決のテーマではなく、罪なき者が犯人にされていいのかという正義の問題だ。このテーマには政治決断を要する」「総理のご決断を」と迫った。
高市首相は「私は、政府与党は一体となって国民のみなさまに責任を持つ必要があると思っている。だから、内閣提出法案でも与党内審査を丁寧にしていただき、修正すべき点があったらご提案いただき、それを受け止めている」とした上で、「私ひとりが決断をして、みんな従ってください、と。自民党はそういう政党ではありません。日本維新の会との連立政権でもそうです」と訴えた。さらに「衆知を集めるのは国会の場。十分に議論をしていただいて、最適のもの(法案)を提出したい。その上で、国会での議論をいただきたい」とも述べた。
「再審制度の改正は刑事訴訟法の改正にかかわり、刑事裁判の実務に非常に大きな影響を及ぼす」とした上で、「(法務省案については)法制審議会もさまざまな立場の方に入っていただいて、一生懸命議論を重ねてくださった。いろんな意見があり全部が一枚岩ではなかった」と述べ、「(法制審の)答申を、政府としては重く受け止め、与党内の審査を踏まえて法案を提出できるように努力している最中」として「私自身の決断で決めていいことではない」と繰り返した。
政府案の事前審査を行っている自民党の法務部会・司法制度調査会合同会議では、裁判の長期化の一因とされる検察の不服申し立て(抗告)を全面禁止するよう多くの議員が指摘。今月15日の会合ではこれを踏まえ、いったん示された修正案の了承は見送られ、司法制度調査会長の鈴木馨祐前法相が、さらなる修正を含めた検討が可能か法務省に求めており、5月の連休明けに再度、修正案が示される見通し。