社民党の福島瑞穂党首が14日の参議院外交防衛委員会に出席し、台湾有事に関連した沖縄、九州などの防衛政策をめぐり、小泉進次郎防衛相と議論の応酬となる場面があった。
福島氏は、台湾有事を念頭に武力攻撃を受けた場合、政府が現状では、沖縄の離島の住民約12万人を島外避難、沖縄本島の約120万人を島内避難させることを想定していることについて、内閣官房審議官に対し質問。離島の先島諸島の避難先と設定されているのが九州、山口であることから「九州、山口は安全なんですか?」などと質問した。
その流れで、小泉防衛相に対しても「有事の時に、何がどこでどう起きるか、どう考えているんですか?九州は安全ですか?」と鹿児島、宮﨑、熊本、佐賀、長崎などに自衛隊基地や駐屯地があることをあげながら質問。「有事になった時に何がどう起こるか、防衛省としてどう考えているんですか」と聞いた。
小泉防衛相は「政府として、武力攻撃事態、そして武力攻撃予測事態について、(福島)先生は『何が?』とか『どこで』と、こういったことをお尋ねになるわけですけども、何がどこで起きる、という特定の事態をあらかじめ想定しているわけではありません」と説明。「いかなる事態が、これらの事態に該当するかは、これは今までの国会答弁でも使わせていただいてますが、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府がすべての情報を総合して判断するというのが、政府としての一貫した立場であります。ですので、重要なのは、どのような事態が発生しても、国民の皆さまを守り抜けるような、平素からの必要な備えを行っておくことだと考えております」と返した。
ただ福島氏は「全くわかりません」とバッサリ。「内閣官房は『先島諸島の人は安全な九州に避難する、熊本に避難する』って言うんですよ。そして防衛大臣は『何が起きるかわからない、総合的に判断する』って」と両者の回答を比較しながら「九州まったく安全じゃないじゃないですか。健軍基地に長距離ミサイルが配備なんですよ。安全じゃないですよ、狙われるじゃないですか。安全な九州に避難するって、内閣官房は絵に描いた餅じゃないですか」と断じた。
福島氏は語気を強め「防衛大臣、あらためてお聞きします。有事になった時、どうなるんですか。こんな避難計画、意味があるんですか。九州も安全じゃない。先島、沖縄本島も安全じゃない。まだお聞きします。台湾有事といったときに何が起きるんですか。何が起きるって防衛省は考えているんですか。避難との関係はどうなんですか」と質問した。
小泉防衛相は冷静な口調で「先ほども申し上げました通り、何が起きる、とか、どこで起きる、とか、こういった特定の事態をあらかじめ想定しているわけではありませんし、今、世界の安全保障の現状を見たときに、先生はおわかりだと思いますけど、何が起きる、ということをあらかじめ考えて、その事態にのみ特化をして対応するということではなくて、何が起きても平素から備えをしっかりして、いかなる事態であっても国民のみなさまの生命、財産を守ることができる。そして日本の主権と領土領海領空を守り抜く。こういった構えで我々は自前の防衛力の整備、そして同盟国同志国との連携の強化。ここについて今、新たな安全保障環境が出てきているのは先生も理解いただけると思いますので、そこに合わせていけるような、全体としての日本の安全保障戦略を再構築しなければいけないから、年内に(安全保障関連)3文書の改定を進めておりますので、具体的な議論を積み上げていきたいと思います」と語った。
福島氏はこの回答にも「全く納得いきません」と不満顔。「何を想定して何を準備するのか。日本全体に130個、弾薬庫を作るんですよね。そして内閣官房は『沖縄本島は島内に避難する。南西諸島12万人は、船で6日間かけ、あるいは民間機で、九州あるいは山口に避難する。安全じゃないじゃないですか。何のシミュレーションもしてなくて、何が起きるか分からない。台湾有事が起きた時にどう考えているのか。日本に来るんですか?日本のミサイル基地は攻撃されるんですか?それ考えているんですか?」と矢継ぎ早に聞いた。
これに対し、小泉防衛相は、やや冷ややかな口調で「あの…日本がミサイルで攻撃されるんですか?っていうのは、それは我々に聞く質問じゃないんじゃないですか。」と返答。小泉防衛相は真剣な表情だったが、議場には笑いが起きた。
この反応に対し、福島氏は「お笑いにしないでください」とクギを刺した。また、陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本市)に配備された長距離ミサイルについて、地元への説明が不足しているとして、不安の声もあると指摘。「何が起きるか、どう考えているのかすら、国民に明らかにしなくて、避難してください、避難計画やります、って、そっちの方が茶番じゃないですか。全く絵に描いた餅ですよ」と続けた。
福島氏は「九州、山口は安全か、ということに答えられないじゃないですか。どこも安全じゃないかもしれない」と繰り返すと「しかもさっきの笑い声は何なんですか?」と、議場に怒りを示す場面も。「とっても大事なことで、どこの地域も、ものすごい危機感を持ってますよ」と強調した。