「日本中学生新聞」未成年ジャーナリストに「洗脳」など誹謗中傷 著作出版元が抗議声明

柏書房の公式サイトから

「日本中学生新聞」の創刊者、執筆者として知られるジャーナリスト川中だいじ氏(15)に対する誹謗(ひぼう)中傷が確認されたとして、著作を発行する柏書房が15日、人格否定や差別的言説に反対する声明を公開した。

川中氏は、中学1年だった23年に「日本中学生新聞」を立ち上げ、兵庫県知事選や国政などを積極的に取材し、SNSで発信していることで知られる。柏書房は川中氏の記者活動のルポタージュ「こちら日本中学生新聞」を3月に刊行している。

柏書房は「『こちら日本中学生新聞』著者・川中だいじ氏に対する誹謗中傷について」と題した声明を公開。「現在、SNSや動画配信等において、同書の著者である川中だいじ氏に対して、人格や尊厳を傷つける発言・投稿が継続的に確認されていることを、出版社として深刻に受け止めています」とした。

さらに、誹謗中傷の内容について「家庭環境や親子関係、学校生活について、根拠なく断定的に語るもの」「『操られている』と決めつけるもの」「病気」「『頭がおかしい』など、異常な存在であるかのように扱うもの」「容姿や表情を嘲笑するもの」「特定の思想や政治的立場と短絡的に結びつけ、個人の考えや人格を決めつけるもの」「性的搾取や犯罪的事例と並置して論じるもの」「国籍や出自に関する差別的な言及を含むもの」などがあると説明。「未成年者には十分な自己決定能力がない」「未成年者の人権を大人と同じように考えることはできない」という趣旨の発言も見受けられるとした。

柏書房はその上で、「子どもの人権を軽視するこうした言説は、川中氏個人に対する問題にとどまらず、子どもたちが主体性をもって社会について考え、発言し、行動することそのものを萎縮させかねず、看過することはできません」などとして、差別的言説などに反対する姿勢を明確にした。

川中氏の運営する「日本中学生新聞」の公式Xでも「ネットの世界特有の匿名性を利用し、好き放題に誹謗中傷を繰り返す行為をして一体何が満たされるのだろうか、悲しくならないのかとさえ思います。未成年であることを理由にあたかも心配するかのような体裁をとりながら尊厳を傷つける行為は、『差別反対!』と声をあげる人たちにも見受けられます。子どもへの差別は、そのくらい当たり前の顔をしてすぐそこにあるのです。ぼくよりももっと若い世代の子供たちの政治参画へと繋げていくために、声をあげ抗います」とのコメントが掲載された。

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▼柏書房の発表全文

小社刊『こちら日本中学生新聞』に関連する発信やイベント運営において、著者の安全面への配慮や関係各位とのコミュニケーションの面で、担当編集者ならびに出版社として至らない点がありました。その結果、著者ご本人、ご家族に不安やご負担をおかけしたことを、重く受け止めています。

私たちは今回の件を通じて、未成年の著者に関わる企画や発信においては、本人の尊厳と安全を最優先に考え、より慎重な運営と配慮が必要であることを、あらためて強く認識いたしました。小社としての考えをあらためて明確にするため、本声明を公表いたします。

現在、SNSや動画配信等において、同書の著者である川中だいじ氏に対して、人格や尊厳を傷つける発言・投稿が継続的に確認されていることを、出版社として深刻に受け止めています。

私たちはまず、未成年者であっても、一人の人格と権利を持つ存在であるという、ごく基本的な原則をあらためて確認します。

日本国憲法第14条は、「すべて国民は、法の下に平等」であり、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」によって差別されないと定めています。また、日本も批准している国連の「子どもの権利条約」は、子どもを保護の対象としてだけではなく、「意見を表明する権利」を持つ主体として位置づけています。同条約第12条では、子どもが自己に影響を及ぼすすべての事柄について自由に意見を表明する権利が保障され、その意見は年齢や成熟度に応じて尊重されるべきであるとされています。

しかし現在広がっている川中氏に対する言説の中には、以下のような個人の尊厳を著しく傷つける内容が多数含まれています。

・家庭環境や親子関係、学校生活について、根拠なく断定的に語るもの

・「操られている」と決めつけるもの

・「病気」「頭がおかしい」など、異常な存在であるかのように扱うもの

・容姿や表情を嘲笑するもの

・特定の思想や政治的立場と短絡的に結びつけ、個人の考えや人格を決めつけるもの

・性的搾取や犯罪的事例と並置して論じるもの

・国籍や出自に関する差別的な言及を含むもの

また、一部では、「未成年者には十分な自己決定能力がない」「未成年者の人権を大人と同じように考えることはできない」という趣旨の発言も見受けられます。

私たちは、未成年者であることが、その人格や尊厳、権利を否定する理由となるべきではないと考えます。未成年者には、年齢に応じた保護や配慮が必要です。しかしそれを理由に、あたかも本人を心配するかのような体裁をとりながら個人を侮辱したり、人格そのものを否定したりすることは、正当化されるものではありません。

とりわけ、「利用されている」「洗脳されている」「虐待されている」などと、第三者が家庭環境や親子関係について断定的に語ることや、未成年者を性的搾取や犯罪的事例と並置して論じること、あるいは「異常」「病気」などの言葉で人格を貶める表現は、本人や家族に大きな精神的負担を与え、尊厳を著しく傷つけるだけでなく、誹謗中傷や差別的言説を助長しかねません。

子どもの人権を軽視するこうした言説は、川中氏個人に対する問題にとどまらず、子どもたちが主体性をもって社会について考え、発言し、行動することそのものを萎縮させかねず、看過することはできません。

小社は、こうした人格否定や差別的言説に対し、出版社として明確に反対の立場を表明します。

 

2026年5月15日

柏書房株式会社