国民民主党の玉木雄一郎代表は2日の定例会見で、自民党が1日に日本国旗の損壊行為を罰する「国旗損壊罪」を新設する法案の内容を了承したことをめぐり、「正直びっくりした。よく自民党の手続きを通ったなという感じがしている」と述べ、自身が考える内容の不備を次々と挙げ、厳しくただした。
現状のままの法案が提出されれば、党として賛成しかねるとの認識も示した。 玉木氏は1日、自身のXで「違憲立法」などと厳しく批判していた。この日の会見であらためて見解と、法案が出てきた場合の党の対応を問われると、「私は個人的には、日本国国旗をしっかり守るべきだと思う立場」とした上で、「守るための立法論というか、法技術論が全然なっていないという感じがした」と指摘。現状は議員立法だが「国家の基本にかかわる話であれば、出すなら内閣提出法案として出したらいいと思う。これは、内閣法制局を通らないと思いますよ」と、皮肉交じりに述べた。
自民で了承された条文の内容では、「人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法で公然と損壊、除去、汚損した」場合に、罰則が科されるとしている。自ら損壊している状況を撮影し、その映像を不特定多数に公開した場合も処罰対象となる。その場合、罰則が科せられるかどうかは「行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行う」などとされている。
玉木氏はこうした内容を念頭に「罰則を科すわけですよね。懲役刑まで科すわけでしょ? となると『罪刑法定主義』なので、何が罰せられて何が罰せられないか、事前に明確でなければならない。でもそれが『総合的に勘案してやる』となっている」と述べた。また、「適用上の注意で『表現の自由その他、日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない』と書いてあるということは、普通にやったら表現の自由の侵害になり得ることを、認めているわけですよね。そうならないような条文を書かないとだめですよ」とも指摘した。
その上で、「日本国国旗は守るべきだと思いますが、それを実現するための法技術、法律論として、ひとことで言うと、我が国に憲法裁判所があれば、違憲立法と判断されかねない内容」と、あらためて主張。「このままの条文が本当に出てくるなら、賛成しかねます」とクギを刺し、「我々だけではなく、日本国国旗が大事という人でも、これはなかなか賛同できない中身なのではないか」と、内容への疑問を連発した。
国旗を毀損(きそん)し、それを撮影した人がSNSに載せた場合も罰せられるケースに触れ「これは、過度な表現の自由の規制になる。自民党の中にも、『表現の自由戦士』はいっぱいいると思うが、あれだけいろんなコミケとかに行って『表現の自由を守れ』と言っているのに、このことを許していたら、表現の自由が過度に制限され、萎縮効果がものすごく大きく及ぶのではないか」とも指摘。「『公然性』とはどういうことなのか、あるいは、ともに撮影に協力した監督やディレクターは共犯になるのか、その辺もよく分からない。そこに該当するかどうかの判断は、『行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行うものとする』とある。総合的に勘案する中身が何なのかよく分からないから、法執行する側も大変なのではないか」とし、「国旗を守りたい思いは同じですが、それを実現する法技術的法律論として、極めて詰まっていない内容で、国会審議に耐えられるのかなと心配しています。反対というより、心配しています」と口にした。
「本当に自民党(の機関)を通ったのですか? 法律論や憲法論を分かっている方からすると、なかなか難しいのではないか」と首をひねり、「だれが、何が、罪に問われるのかが極めてあいまいなので、他の守るべき領域である表現の自由との関係で言うと、極めて問題の多い法案になっているのではないか、というのが初見の印象です」とも指摘した。
同法案は、高市早苗首相の肝いり案件の一つ。自民党は今後、日本維新の会と調整した上で今の特別国会に法案を提出し成立を目指す。ただ、自民党内にも慎重論を唱える声があり、先行きは見通せていない。