高市首相、中傷動画疑惑めぐり「虚偽答弁と認めるか」「国民に謝罪を」の立民指摘に応じず

先進7カ国首脳会議(G7サミット)出席など欧州訪問から18日に帰国したばかりの高市早苗首相は19日、参院本会議に出席した。刑事裁判の再審制度を見直す刑事訴訟法改正案がこの日、参院で審議入りしたことに伴うものだが、立憲民主党は高市首相の陣営が昨年の自民党総裁選で他候補を中傷する動画を作成し投稿したとする疑惑報道をめぐり、高市首相の対応を批判し謝罪を求めるなど、首相は帰国早々、真摯(しんし)な説明が求められる疑惑報道に向き合わざるを得ない形となった。

立民の打越さく良議員は、再審法改正案の質問に先立ち、高市首相の中傷動画疑惑に言及。質問で、今月5日に行われた参議院予算委員会での高市首相の答弁内容について「誤りがあった」として、自民党側が答弁の訂正を申し出ていることに触れ、「問題の答弁は総理の公設第1秘書が、動画を作成し大量拡散したことを自ら告白している男性との間でオンライン会議を行っていた事実について、そのことを認めていた高市事務所からの文書回内容を、総理が答弁で明確に否定したことにかかわるもの。部分的な訂正や取り消しですまされる問題はない」とピシャリ。「この時間の(首相)答弁は、虚偽答弁だったと認め、この場で国民に謝罪すべきではないか」と、高市首相に謝罪を求めた。

その上で「総理はこれまで、秘書も(男性との面識について)確信は持てないと言っているなどとあいまいな答弁を繰り返してきたが、週刊文春の続報で、声紋鑑定の結果、同一人物の音声と推定していいという結果が出たと報じられた」と、文春の続報に言及しながら指摘。「公設第1秘書と男性の間で行われていたとされる中傷動画作成についてのやりとり、秘書が具体的に中傷動画作成を指示していたと思われるメッセージの内容も公表されている」と報道内容を元に追及し、「公設第1秘書がこの男性と一切面識が無かったという答弁は、虚偽だったとお認めになりますかか」などとただした。

その上で、「本件は、単なるスキャンダルではない。中傷動画の大量拡散で民意がゆがめられた可能性、一国の総理が国会で虚偽答弁を繰り返していた可能性が問われる問題」とし、秘書の国会招致もあらためて求めた。

答弁に立った高市首相は「6月5日の予算委員会でご質問をいただいた高市事務所からの4月3日付の回答に関する答弁については、あらためて秘書にも確認した」とした上で、「高市事務所から回答した内容で、記載のある内容は事務所の認識に相違ないということでしたので、6月10日の衆院法務委員会でもその旨説明した」と主張。「6月5日の参院予算委員会での答弁に先立って、当日の深夜から朝にかけて秘書に電話し、未明にようやく電話で確認した」として、「当時秘書は就寝中で、手元に週刊誌への回答文がなかったので電話で回答文の一部のみが引用された週刊誌の記事を読み上げて確認した」「秘書からは、約2カ月の回答文であり、もともとウェブ会議について詳細を覚えていなかったこと、長い回答文のうち一部分のみが抜け出されていた記事の読み上げだったこともあり、全体の回答の趣旨とは違うと思った、などという説明があった」と、秘書とのやりとりに触れるにとどまり、「虚偽答弁」だったかなどの見解は明かさなかった。

また、秘書と男性の関係については「国会でのご質問やマスコミのみなさまからの取材に、可能な限りの事実確認をし、誠実に答えてきた。今後そうした考えに変わりはありません」と述べたが、これまで行ってきた高市首相の答弁内容を念頭に、野党席から激しいヤジが飛んだ。

また、オンライン会議でのやりとりに関しては「私の秘書が参加したオンライン会議に、おたずねの男性も参加していたという報道がなされていることは承知している」とした上で、「秘書に確認したところ、参加者全員を覚えているわけではないため、その可能性は否定しない」としたものの、「事務所では、顔とお名前が一致しない方とも数多くのやりとりがあり、この男性についても、秘書としてははっきりとした記憶はなく、直接お会いしたこともないため、面識がない方という認識であると報告を受けている」と主張。「直接」という部分を強めに発言した。

一方、「他の候補を誹謗(ひぼう)中傷するような動画の作成や発信を、(秘書が)この男性に依頼したのではないかとのご指摘もありますが、そのようなことは決して行っていないと聞いております」として、この件に関しては明確に否定した。