高市早苗首相は22日の衆院予算委員会で、昨年の自民党総裁選などで自身の陣営が他候補を中傷する動画の作成、投稿に関わったとする一連の疑惑報道や、暗号資産「サナエトークン」をめぐる野党議員の詳細な質問に直接答えず、秘書による「陳述書」を委員会に提出することで、答弁に代えさせてほしいと訴えた。
疑惑報道などに関する対応に追われて「私の総理としての業務時間も、確保できなくなってきている」と主張する場面もあった。
中道改革連合の後藤祐一議員への答弁。後藤氏はこの日、皇室典範改正案や中東情勢に関する質問のほかに、中傷動画疑惑報道や「サナエトークン」をめぐり、事前に10項目以上にわたる質問を首相側に投げかけていた。細かい内容に関して事実関係を問うた後藤氏に対し、高市首相は「私は、30年以上衆院議員を務め、総裁選に3回立候補しましたが、他の候補を中傷したり批判したりせず、ひたすら自分の政策を訴えてきた。これは私の政治家としての矜持(きょうじ)であり誇りでもある。ましてや、他人を誹謗(ひぼう)中傷したりする行為を第三者に依頼して行うことはあり得ない」と述べたり、「サナエトークン」に関しても自身や事務所の関与をあらためて否定するなど、質問への直接の答弁ではなく従来の主張を続けた。
後藤氏は自席から「聴いていない」「質問に答えていない」と指摘を続けると、高市首相は「これらの件について、これまで質疑通告をいただく都度、指定された週刊誌の記事の該当部分を深夜に読んで、委員会当日の深夜から早朝にかけて就寝中の奈良の秘書に何度も電話して、秘書が答えた内容を答弁してまいりました。複数の週刊誌報道をもとにした、さまざまな時期のさまざまな事柄についてのご質問をいただき、その都度内容に応じて、誠実に答弁をしてまいった」と主張。「報道を見ても、その一部が切り取られることで全体像が明らかにならず混乱を招くことになる。また、私の総理としての業務時間も確保できなくなってきている」と述べた。
その上で、秘書の「陳述書」を予算委員会に提出する意向を表明した。
後藤氏は先週金曜日の昼ごろに質問を事前通告していると指摘したが、高市首相は「この土曜、日曜があったじゃないかと言われたが、私はこの土曜も日曜も日本の成長戦略や地域未来戦略、『骨太の方針』に向けた、たくさんの資料を持ち帰って住まいで読み、予算委員会のみなさまへの答弁資料も読みながら時にはペン入れをしながら、本当に金曜日の夜から今朝まで、ほとんど睡眠もとっていません」と口にした。
「一生懸命仕事をしています。国会対応がとても大事とは分かっていますが、時系列がバラバラで、週刊誌の記事などを切り抜いたものをいただいても、これは私自身が確認して答弁することはなかなか困難でございます」と、この場での答弁は不可能だと主張。「秘書の聞き取りをして伝言をするのは無理でございますので、なんとか秘書がしっかりした陳述書をつくりますし、証拠となる書類も入手しているので、それも委員会に提出します。それをもって、なんとか答弁に代えさせていただけませんか。心からお願いします」と述べた。
後藤氏は「結局、質問に答えていない。答弁拒否ですね」と切り捨て「じゃあ、秘書に参考人として予算委員会に来てもらいましょう」として、秘書の国会招致を理事会で協議するよう、坂本哲志委員長に求めた。
この日は午前の衆院に続き、午後は参院でも高市首相らが出席して予算委員会が開かれるが、事前の与野党間の理事会協議が紛糾して終わらず、開会の午後1時を過ぎても委員会が始まらない事態となった。