石破茂前首相「『反省』して教訓得るのは当たり前」自身への評価「極右→極左」変化に戸惑いも

ジャーナリスト鈴木哲夫氏(左)とのトークショーで参加者に手を振って応える石破茂前首相

石破茂前首相は21日に東京都内で行われたトークショーに出席し、首相在任中だった昨年8月15日の全国戦没者追悼式の式辞で13年ぶりに「反省」の言葉を使ったことについて、「安倍(晋三)総理以来、菅(義偉)総理、岸田(文雄)総理と『反省』の言葉は入れなかったが、それは本当になくていいですかということ」と述べた。「反省し、教訓を得るというのは、当たり前のことじゃないですか」とも語った。

今年の追悼式の式辞で、高市首相は「反省」に言及せず、石破氏のスタイルを踏襲しなかった。石破氏は、高市首相の式辞内容には直接触れなかった。

石破氏はこの日、親交があるジャーナリスト鈴木哲夫氏の著書「戦争は、ひとつの『凶器』から始まる」(ブックマン社)の出版を記念したトークショーで鈴木氏と対談。昨年の参院選で大敗した後、批判を浴びながらも首相の座にとどまり続けたのは、トランプ関税への対応とともに、「戦後80年談話」を発表することへの強い思いがあったと述べた。

「(首相として)自分の大きな仕事になるかもしれない、しなきゃいけないという思いが強くあった。(談話を)出す前から、反対、反対、大反対の人はたくさんいました。安倍晋三総理の70年談話で完結しており、それ以上何を言うことがあるんだという感じだった」と振り返り、「安倍さんの70年談話は、本当に練りに練ったものだったと思いますが、ひとつ引っかかったのは、なぜ当時の政治システムはあの戦争に突入することを防げなかったのだろうかについて。時の内閣総理大臣として、それなりの解を提示することは、安倍さんの70年談話をさらに深掘りすることになると思った」と語った。

また、昨年の式辞で「反省」の言葉を使ったことについて問われると、「安倍さん以来、菅総理、岸田総理と、8月15日に『反省』という言葉を入れなかったが、それは本当になくていいですかということ」と言及。「ドイツの場合はヒトラーが自決し、その後、海軍元帥のデーニッツが後を継ぐが、連合軍が認めず、(戦争当時の)ドイツという国はあそこで1回終わっている。東西ドイツ、今のドイツは連続性を持たない。だけど日本の場合は、大日本帝国憲法の改正条項を使って、今の日本国憲法がある。天皇陛下を中心にする国家のあり方、今は(戦前とは)ニュアンスが違うけれど、それが維持されているというのは、戦前の大日本帝国をわが日本国国民は継いでいるということでしょ。国家の連続性というのはそういうことでしょ」と持論を訴えた。

石破氏はその上で「そこにおいて、我々は何を学ぶべきなのか。それを教訓というなら、なぜ教訓が得られるかというと、あの戦争に突っ込んでいった、どう考えても勝てない戦争に突っ込んでいったのはなぜということを反省しないで、なんで教訓が得られるのかという思いがある」と主張。「中国でもフィリピンでもインドネシアでも、大勢の人が死んでいった。そのことに対して、今の我々の世代の、日本国を継承している者として、それは反省をし、教訓を得るというのは、ロジックから見て当たり前のことじゃないですかね」とも訴えた。

一方、自身に対する評価に関し、「(かつては)『極右の軍事オタク』だったわけ。いまは、へたすると『極左』。でも、言っていることはいっしょ。世の中の座標軸が動くってこういうことなんだなという」と口にし、「極右の軍事オタクが、今や極左の軍事マニアになっている。それが、何なんだろうなという感じは、正直持っていますが」と、戸惑いをまじえて語る場面もあった。