高市早苗首相は17日、内閣改造に踏み切り、第二次高市改造内閣の新たな顔ぶれを決定した。来年秋の自民党総裁選でライバルになると見られ、今回去就が最も注目されていた林芳正総務相(65)は留任せず、閣外に去った。「政界の119番」が売りのベテラン政策通は来秋の勝負へ準備に入るとみられ、再選を目指す高市首相との間で静かな緊張関係が始まる。10人が交代し、初入閣は7人。女性閣僚の顔ぶれも変わらず、サプライズは皆無。「裏金議員」も2人入った。そんな布陣を、高市首相は会見で「決断と挑戦、実行の内閣だ」と主張した。
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皇居での認証式を終えて会見に臨んだ高市首相は、新たな内閣について「決断と挑戦、実行の内閣」と述べた。内閣改造を行うに当たり、自民党衆院議員全員に配布した「希望ポスト」アンケートを「つぶさに読み込んだ」と強調。「端的に申し上げれば、アンケートで提案された政策や積極性と情熱を見極め、実行力重視の人選をした」。歴代の多くの内閣で行われた派閥推薦による人選も考慮したのかと問われると、「旧派閥のバランスなど、まったく考慮しておりません!」と断言した。
留任が確実だった閣僚以外の新たな顔ぶれが直前まで漏れない、文字通り「官邸主導」の改造に。10人が交代し7人が初入閣となったが、出身官庁の担当大臣になった元官僚の大臣は、計5人となった。特別国会では答弁の少なさが野党に批判された高市首相にとって、専門分野の大臣をそろえることで「苦手な国会答弁にも備えた『手堅い布陣内閣』」(与党関係者)になった。
一方、高市首相とは経済や外交などの路線がやや異なる政策通の「政界119番」林氏は留任せず、退任となった。参院から衆院にくら替えしたのも、首相を目指すためといわれた林氏。昨年の総裁選では、議員票で高市首相を上回ったものの地方票が伸びず、決選投票に進めなかった。総務相に就任後も、「次」を見すえ地方回りを続けていた。
総裁選で首相と戦った茂木敏充外相、小泉進次郎防衛相が留任する中、林氏だけが閣外に去ったことで、永田町は大騒ぎ。高市首相は会見で「個々の閣僚の人事に関するコメントは控える」としながらも、昨年の総裁選を戦った3閣僚には「第一希望の役職であることを確認して人事を行った」と述べ、林氏は留任が第一希望ではなかったようなニュアンスをほのめかした。一方で、林氏を念頭に、辞表取りまとめの際には「感謝の気持ちを伝えた」とも語った。
林氏も退任会見で、首相からの留任要請があったか問われたが答えを控え、「後ろ髪を引かれる思いでは」の問いに「後ろ髪はあまりないもので」と、けむに巻いた。
16日の自民党役員人事で、「聖域」とされてきた参院幹事長が交代したのは、国会運営をめぐり深い溝が指摘された高市首相の意向がくまれたとの見方もあり、参院側では反発も伝えられる。そして、今回の林氏の退任。まだまだ「1強」の高市首相だが、自民党内の緊張関係の火種は、わずかに芽生えつつある。【中山知子】