百貨店の高島屋は、文京学院大(本部・東京都文京区)との産学連携プロジェクト「令和小紋プロジェクト」により開発した「江戸小紋」の新作2柄を、10月7日から高島屋5店舗とジェイアール名古屋タカシマヤで販売すると発表した。価格はともに33万円(税込み)から。
今回誕生した新柄は、「オーケストラ」と「葡萄(ぶどう)と栗鼠(りす)」の2柄で、高島屋呉服部バイヤーや若手社員、文京学院大の学生によるアイデアから生まれた。約1年かけて商品化が実現した。
江戸小紋は、遠目には無地に見えるほど細かな模様を型染めで表現する、日本を代表する伝統的な染色技法。中でも複数のモチーフを巧みに配置する「けれんもの」と呼ばれる図案は、高度な技術を必要とする。最近は着物市場の縮小、職人の高齢化などによる図案家の減少のため、新作が難しくなっているという。
このプロジェクトでは、文京学院大が開発したAIを図案制作の支援技術として活用。過去の江戸小紋作品や型紙を分析し、これまで言語化されず、長年職人の経験によって培われてきた図案構成の考え方を研究した。消滅の危機に直面する江戸小紋の図案制作の知見を未来へつなぐことを目的に、AIと職人が協働する新しいものづくりの実証としてスタートした。
新たなモチーフを入力すると、伝統的な美意識に沿った配置案を生成する独自のAIシステムを開発した。ただ、AIが生成した図案を製品にするわけではなく、モチーフの向きや配置のバランス、染め上がり時の見え方など、最終的な判断には熟練職人の経験と感性で調整した。
AIの活用を重要な選択肢の1つとして、「AIが職人不足を補うもの」と位置づけ、伝統の継承と産業の未来をつなぐ新たな共創モデルとしている。