就任早々ピンチの簗和生農相とは? 高市首相から「やなちゃん」と信頼も…政権“アキレス腱”に

簗和生農相(2023年2月)

自民党が歴史的圧勝をおさめた今年2月の衆院選で自身を支援しなかった地元自治体の道路予算を「大幅にカットした」という発言を、身内の会合でしていたと一部週刊誌に報じられた簗和生(やな・かずお)農相(47)が、就任早々、大ピンチに陥っている。

住民の生活に直結する内容の予算に絡む発言だけに、5日に召集される臨時国会での野党からの追及は避けられず、第2次高市改造内閣を発足させたばかりの高市早苗首相にとっても大きな「アキレス腱(けん)」になった形だ。

簗氏が高市首相と思想信条の観点から近い立場にあることも、今回の問題を深刻にとらえる声の背景にあるようだ。

簗氏は2日夕の記者会見で、一連の週刊誌報道について「私の表現ぶりが誤解を招いた」「誤解を生んだ」など「誤解」というフレーズを多用しながら、「(会合で)『大幅に道路予算をカットしました』というような言い方はしたのか」と問われると、「音声を確認したわけではないが、そのような形で音声が出ているということであれば、そういう発言をしたんだとと思います」と、発言を事実上認めた。一方で、国交省に道路予算をカットするよう自ら働きかけたことは否定し、「自民党の身内の会ということもあり、少し誤解を生むような発言をしてしまった」と主張した。任命権者でもある高市首相とは話をしていないとし、辞任も否定したが、謝罪はせず、質問にかみ合わない答えをする場面もあった。

そんな簗氏とは、どんな人物なのか。東京都出身で、公式サイトのプロフィルなどによると、慶大商学部を卒業後、東大大学院を修了。衆院議員秘書やシンクタンク研究員を歴任した。当選6回。自民党が民主党から政権を奪還した2012年衆院選で栃木3区に自民から立候補し、みんなの党代表を務めた渡辺喜美氏に小選挙区で敗れるも、比例復活で初当選。自民党の政権奪還時に初めて議席を得た「安倍チルドレン」と呼ばれた新人議員の1人だ。

その後は4回続けて小選挙区で議席を得てきたが、今年2月の衆院選は自民党が圧勝する中、小選挙区で自民党籍を持つ渡辺真太朗氏(33)との激しい保守分裂選挙となり、4500票あまりの差で敗れ、比例復活した。

選挙の際には応援に入った高市首相が「私の大事な簗ちゃん、知恵袋の簗ちゃんが(地元選出の代議士として)いなかったら本当に大変です」などと、強い調子で支持を訴えた。高市首相を支持する保守系グループの1人で、与党関係者によると、今回の内閣改造では「当初から簗氏の入閣情報があり、初入閣は確実視されていた」といい、高市首相の信頼の厚さは、だれもが知るところだという。

文科副大臣や国交政務官兼内閣府政務官を歴任。自民党農林部会長も務めた経験があり、今回の内閣改造で、農相として初入閣。高市首相は新たに起用した顔ぶれについて、「選挙の強さ」も重視したと会見で明かしたが、簗氏は今回起用された閣僚の中で唯一、小選挙区で落選している。

また、旧安倍派出身で、同派裏金事件では1746万円の収支報告書への不記載があり、党から役職停止6カ月の処分を受けている。裏金事件発覚以降、歴代首相が閣僚に起用してこなかった「裏金議員」の起用に、今回初めて踏み切ったのが高市首相。自民党内では、「裏金議員」の起用を疑問視する声は少なくなかったという。

今回の事態を受けた高市首相の対応や、臨時国会での首相や簗氏の答弁次第では、有権者の視線がより厳しくなる可能性もある。