簗和生農相「私自身が大変不徳」予算カット発言問題で高市政権「早期幕引き」はかる

参院本会議後、報道陣の取材に応じ、予算カット発言を撤回する考えを表明し謝罪する簗和生農相

自民党が圧勝した今年2月の衆院選で自身を支援しなかった地元2自治体の道路予算を「大幅にカットした」という発言を、身内の会合でしていたと一部週刊誌に報じられた簗和生(やな・かずお)農相(47=衆院栃木3区)は5日、国会内で報道陣の取材に応じ、音声について自身の声だと明確に認め、発言を撤回する考えを示した。

その上で「このような発言をしたことは不徳のいたすところ」として謝罪。報じられた音声では、自身があたかも予算カットを国交省にはたらきかけたとも受け取れる発言をしていたが、そのような事実はないとした。その上で、進退に関しては職責をまっとうするとして辞任は否定した。

簗氏は「私の意向で予算が左右できるかのような発言をしたことは極めて不適切。公の立場にある者として、発言にはより一層慎重であるべきところ、このような発言をしたことは不徳のいたすところで深く反省している」と主張。2日の会見では明確に認めなかった事実関係を、このタイミングで認めた理由を「もう少し説明をしろ、おわびをすべきというご意見をいただいた」と述べ、「音声は私の声であるというふうに思っています」と明言した。

この日官邸に出向いた理由を問われると、高市早苗首相に「私の方から、こうしたことになったことについておわびを申し上げた。総理からは、引き続き農林水産行政の推進に向けて、全力で仕事をせよというご指示をいただいた」と、高市首相からの言葉を明かした。「農林水産大臣として責任の重さをあらためて刻み職責をまっとうしたい」として、あらためて続投の意向を強調した。

地元有権者への思いを問われると「今回、こういう形でみなさんに不快な思いをさせてしまった。私の不徳でこうしたことになってしまったことについては、真摯(しんし)に受け止めおわび申し上げたい。これまで地元の発展に向け、しっかり地元に根ざした活動をしてきたという思いはある。発言を撤回しておわびをして、これから信頼回復に向けて全力で仕事をしたい」と訴えた。

一方、会合での「予算カット」発言について、そもそも「なぜあのような発言をしたのか」と問われると、「かなり私の心境を吐露することになる、(大臣ではなく)一議員としてお話をさせてもらう」と断った上で、「予算カット」の対象とした、那須烏山市、那珂川町に触れ、「私の地元ですが、これまで災害が起きたときは真っ先に駆けつけ、さまざまな対応を行い、全力でやってきた。国に要望をつないできたという思いがあった」とした上で、「そういう中で、今回の選挙の関係ということで、党員のみなさんに対して、そういう思いが出てしまったのではないか、ということで、率直なところで思い返しています」と述べた。

「そういう思い」の具体的な内容を更問いされると「私自身が、大変不徳であったということになる。市民、町民のみなさまに公平な立場として、議員としての務めを果たしていくという観点で言うと、大変に不徳であり、不適切であったというふうに考えている」と、あいまいな言い方に終始した。

簗氏は自民党が圧勝した2月の衆院選栃木3区で、無所属の渡辺真太朗氏に敗れ、比例復活した。選挙区内のほかの自治体と比較して、「予算カット」の対象として言及された那須烏山市、那珂川町では、票が伸び悩んでいた。

消費税減税など重要案件が目白押しの臨時国会初日に、高市首相に近い立場ながら政権の「アキレス腱(けん)」となっていた簗氏が事実関係を認めて謝罪することで、政権としては「早期幕引き」をはかった形。ただ、大臣就任前とはいえ、地元有権者との信頼関係を損ないかねない発言だけに、今後も問題は尾を引きそうだ。