簗和生農相(47)は14日、高市早苗首相に辞表を提出した。事実上の更迭。衆院選で自身を支援しなかった地元2市町の道路予算大幅削減発言や、公職選挙法抵触の疑いもあるシャトルバス無料送迎問題で追い込まれた。
「私の大事なやなちゃん」を守り続けた首相も、最後は説明責任が果たせていないと突き放したが、身内にも早期更迭を求められながら判断が遅れた。21日の内閣発足1年を前に、お気に入りの大臣が1カ月足らずで閣外に。「無傷」が売りの高市内閣がつまずき、かばい続けた首相のダメージも大きい。
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簗氏は高市首相と面会後、官邸で取材に応じ、辞表提出は自らの判断と述べた。「国会審議、農林水産行政にこれ以上迷惑をかけるわけにいかない」。高市首相との会話の内容は明かさなかった。地元で説明するか問われると「関係者に大変ご迷惑をかけた。おわびを申し上げます」と短く答えた。「疑惑が次々出て説明が追いつかない」(自民党関係者)状況で、初入閣から1カ月にも満たず、追い込まれるように閣外に去る。議員辞職の可能性などの質問には答えずに、取材を打ち切って立ち去った。
アンケートを熟読し、自らに近い簗氏の意欲を買って、満を持して農相に選んだ高市首相。それだけに、ダメージも大きかった。「内閣総理大臣として国会審議、農林水産行政に集中できない状況が続くことは看過できない」として辞表を受け入れたとし、「実際に私が任命した。任命責任を重く受け止めている」と述べた。
与党関係者によると、高市首相は今回選んだ内閣の布陣に、相当の自信を持っていたという。それでも、問題や疑惑に関する簗氏の答弁は不安定で、この日も違法性の有無が焦点になっているシャトルバス問題について、発言を事実上修正した。内閣発足から1カ月もたたず、重視していたワンピースが欠ける形となり、首相は取材対応で沈痛な表情を隠せなかった。
辞表提出の約1時間前。問題があっても「働いて仕事で返せ」と最近まで続投方針だった高市首相の簗氏への反応は、冷たいものだった。シャトルバス問題が新局面を迎えた13日、「仮に違法性があるようなら、ちゅうちょはしない」と初めて進退に言及したが、この日の衆院予算委員会では「みなさまに納得をいただけていない説明しかできていない今の現状が、私は残念でなりません」と突き放した。
予算カット発言を「みっともない」と酷評しつつ、「本来は、大臣として十分な能力を兼ね備えた人」と未練のような言葉も口にした。
簗氏に対しては野党側が、少数与党の参議院で、簗氏が辞任しない限り、問責決議案提出の方針で合意。同決議案が出されれば今後の国会日程にも影響し、高市首相肝いりで、与党が20日の衆院審議入りを目指す消費税減税法案の行方にも支障が生じかねない雲行きとなっていた。
説明責任を求めながら、自身が満足できる説明責任を果たせていない簗氏の答弁が続き、野党の動きにも外堀を埋められ、追い詰められたことで高市首相も動かざるを得なくなった。自民党内でも「『高市1強』で、今回も乗り切れると当初は甘く見ていたのではないか」(関係者)と、首相や周辺の見通しの甘さを批判する声もある。
特に「予算カット発言」については、与野党を問わず当初から批判が出ていた。高市首相が師と仰ぐ安倍晋三元首相と菅義偉官房長官の「安倍官邸」では、政権にダメージを与える可能性がある発言をした閣僚の更迭判断は早かった。今回、週刊誌報道から更迭まで2週間あまりの時間がかかり、その結果、新たなスキャンダルも表面化。判断が遅れたことで、自身の内閣が深い傷を負う形となり、政権の危機管理対応力にも疑問符がつく形となった。
高市首相は、簗氏の後任について15日に公表する考えを明らかにした。関係者によると、農相経験者らの名前も浮上しているという。