都民ファースト“リベンジ”なるか 佐藤沙織里氏に議席奪われた千代田区「前哨戦」23日告示

都庁

昨年6月の東京都議選で初当選した佐藤沙織里・前都議が今年9月に辞職し、欠員が生じたことに伴う千代田区選挙区(被選挙数1)の都議補選は23日、告示される。

昨年の都議選では、無所属で立候補した佐藤氏が、地域政党・都民ファーストの会の現職や自民、共産両党の公認候補らを破り初当選し、注目を集めた選挙区。小池百合子都知事就任翌年の2017年都議選を「小池旋風」で圧勝し、同選挙区で議席を得てきた都民ファは今回、新人を推薦。議席を再び獲得できるか「リベンジ」の戦いとなる。昨年の都議選で都議会に初めて議席を得た参政党をはじめ各党も候補者を擁立。来年の統一地方選に向けた「前哨戦」としての位置づけもあり、結果への関心が集まっている。

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日本の政治経済の中心地でもある千代田区の都議会の選挙区は、生前、自民党「都議会のドン」と呼ばれた内田茂氏が長年、議席を得てきた。内田氏は2017年都議選に立候補せず新人を擁立したが、都民ファはその選挙で自民から議席を奪って以来、2度の都議選で議席を得た。しかし昨年は、小池知事も応援に入りながら、現職が佐藤氏に246票及ばず敗れた。

千代田区では、もともと都民ファ都議だった樋口高顕氏が、現在区長を務める。都民ファにとって「知事、都政、区政のトライアングルによるパイプ」(都政関係者)が売りだったが、昨年の都議選でその一角が崩れる形に。佐藤氏が1年あまりで都議を辞職したことについて、小池知事は16日の定例会見で、補選には多額の費用(約8200万円)がかかるとして「費用と、急に辞めちゃうことで信頼の欠如につながることでは、やはり問題だというふうに思っている」と指摘している。

同区での「議席奪還」を目指す都民ファは今回、無所属新人で弁護士の永戸考(こう)氏(40)の推薦を決めた。これまでスタートアップ支援など都の業務に数多く携わり、そうした縁も、今回の決断につながった。業務の現場で感じた「制度設計の段階から根本的な課題解決に携わりたい」との思いがあり、来年2月に出産を控える妻の後押しもあって、立候補を決断したという。

実家は3代続く印刷業を営む。永戸氏は、日刊スポーツの取材に「千代田区は子度育て支援や福祉などさまざまな取り組みが充実しているが、(立候補を決めて)当事者目線に立つと見えてくる課題もある」として、地域のつながりの基盤にもなる「町会」の高齢化や事業承継の問題などを挙げた。「『聞く力』には、自信があります。都政に生かしていくためにも、まず現場の声を吸い上げたい」と話す。「ニュースになるような制度や政策、社会の課題には、どこかに法律がかかわっている。弁護士でもある自分が(都政で)お役に立てることは何かあるのではないかと思っています」。21日には小池知事も出席して事務所開きを行った。

各党の準備態勢も進んでいる。昨年の都議選で初めて3議席を獲得した参政党は9月30日、新人で会社役員の竹本遥氏(32)の擁立をいち早く発表。同党は18日に投開票された横浜市長選で、推薦候補が前市長の山中竹春氏を上回り次点の得票数を獲得し、地方選での存在感を継続している。また、昨年の都議選に6人を擁立しながら議席獲得できなかった日本維新の会は、新人で法科大学院生の平出碧氏(27)を擁立。国政での政権与党入りから1年となる中、都議会での初議席獲得を目指す。

立憲民主党は元千代田区議の浜森香織氏(48)、共産党は元千代田区議の木村正明氏(71)をそれぞれ公認、無所属で弁護士の浦川祐輔氏(33)、無所属で会社員の伊藤あゆみ氏(55)も立候補を予定している。公明党は都民ファとともに永戸氏を推薦する。自民党は独自候補擁立を模索したものの決定に至らず、政権与党ながら事実上の「自主投票」となる見通しだ。

先日の横浜市長選や、高島宗一郎市長の不出馬表明を受けて10人以上が立候補を表明している福岡市長選(11月1日告示、15日投開票)など主要地方選挙に関心が集まる中での、今回の都議補選。佐藤氏が初当選した昨年6月の都議選後に高市政権が誕生し、政治情勢は変わったものの、物価高騰など有権者が対策を求める課題は多い。来春の統一地方選に向けた、各党の「勢い」をはかる機会にもなりそうだ。投開票は11月1日。