【G1復刻】ダイワスカーレット「打倒ウオッカ」に執念 一騎打ち制し桜の女王/桜花賞

2007年4月9日付 日刊スポーツ紙面より

<桜花賞>◇2007年4月8日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇3歳牝◇出走18頭

3番人気のダイワスカーレット(栗東・松田国)がウオッカとの一騎打ちを制し、ニュー阪神で初代・桜の女王となった。早めのスパートでライバルの脚を封じ込めた安藤勝己騎手(47)は、史上4人目となる2年連続の桜花賞制覇と同時に、JRA通算700勝も達成。単勝1・4倍と断然人気を集めたウオッカは、本来の伸びを欠き2着に敗れた。

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ゴールを待ち切れず、ガッツポーズが飛び出した。残り50メートル、ウオッカの姿が完全に視界から消えた。その瞬間、あん上は勝利を確信した。「勝った」。自然と右手が上がった。新装・阪神で行われた最初の桜花賞。安藤勝に導かれたダイワスカーレットが、新たな桜の女王の座に就いた。

「打倒ウオッカ」の旗印の下、陣営はこの一戦に執念を燃やした。チューリップ賞でつけられた首差を、どう逆転するか? まず主戦の頭をよぎったことが、ライバルの手綱を自分より先に動かすことだった。

着差以上の完敗に映った前走だが、1つ確信したことがある。最後まで楽に見えたウオッカも、実はギリギリ。勝負どころでつけられた差は、最後まで縮まりも開きもしなかった。「瞬発力勝負では見劣る。向こうの手綱を先に動かすことができれば」。前回は、こちらが動く前に並ばれた。だから今回は攻めた。「意識的に早めに動こうと思っていた」。4コーナー。ゴールまで500メートルはあろうかという位置でゴーサインを出した。1馬身あった差が、スッと2馬身に広がった。振り向くと、四位が必死に手綱を動かしている。「秘策はなかった」と笑う安藤勝だが、実際は作戦勝ちだ。史上4人目の桜花賞連覇、そして700勝。記録ずくめの勝利に「(700勝は)言われるまで知らなかった。それがかえっていい結果につながったのかも」と満足そうだった。

松田国師は心理戦を挑んだ。「大レースで勝つためには、相手をどれだけ持ち上げることができるか」。連日ウオッカの強さを褒めあげ、チューリップ賞直後には「このままでは勝つことは難しい」と煙幕を張った。だが、本心は違った。「トライアルを勝つのが目標ではない。本番を勝つためにやっている」。そして本番へピークを持っていくことだけを考えた。馬の後ろにつける調教で精神面の強化にも取り組んだ。勝てる仕上げで、あん上へ引き渡せた手応えがあった。

皐月賞馬ダイワメジャーの半妹という血統馬。松田国師は「預かったときから桜花賞を勝てると思った」という。その存在を早くから知らしめようと、ローテーションにもこだわった。デビュー戦はメジャーのマイルCSと同じ日。思惑通りに兄妹同日Vと話題になった。そして史上15組目となる兄弟クラシック制覇。会心の勝利に「さすがメジャーの下」と笑った。

表彰台で、満面の笑みを浮かべたアンカツ&マツクニ。今週の皐月賞には無敗の快進撃を続けるフサイチホウオーを送り込む。2週連続クラシック制覇へ向け安藤勝も「そういう意味では良かったと思う」と波を感じている。王座独占を狙うゴールデンコンビから、この春は目が離せない。【鈴木良一】

◆ダイワスカーレット ▽父 アグネスタキオン▽母 スカーレットブーケ(ノーザンテースト)▽牝3▽馬主 大城敬三▽調教師 松田国英(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 5戦3勝▽総収得賞金 1億7272万3000円

(2007年4月9日付 日刊スポーツ紙面より)※表記は当時