<阪神4R>◇5日◇障害未勝利◇直線ダート2970メートル◇出走10頭
55歳の「二刀流の鉄人」熊沢重文騎手が重傷を乗り越え、1年4カ月ぶりのカムバックVを挙げた。5日の阪神4R(障害未勝利、直線ダート2970メートル)を5番人気セルリアンルネッタ(牡4、高橋康)で勝利。昨年2月に落馬で第2頸椎(けいつい)を骨折して「再起不能とも言われていた」という絶望的な状況から復活を果たした。
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477日ぶりのVゴールは、ゴーグル越しにかすんで見えた。残り300メートルを切って先頭へ。「37年間乗ってて、直線が一番長く感じた」。熊沢騎手が歯を食いしばり、ひたすら両腕を前後させる。もどかしいほど遠くに思えた決勝線をようやく越えると、顔じゅうに笑いじわをつくった。
「ありがたいです。いい馬に乗せてもらった。『直線って、こんなに長いんだ』って思ったけどね」
昨年2月の落馬で第2頸椎骨折の大けがを負った。入院だけで3カ月に及び、医師からは「再起不能とも言われていた」。1年間ものリハビリを乗り越えて先月に復帰。清めの塩を包んで勝負服に忍ばせ、3戦目で白星をつかんだ。レース後も肩で息をして「年も年ですから」と照れた55歳は「いつまで(現役で)やるか決めてないけど、これからも泥くさく頑張るだけ」と誓った。その顔には相変わらずの人なつっこい笑みがあった。【太田尚樹】
◆熊沢重文(くまざわ・しげふみ)1968年(昭43)1月25日、愛知県生まれ。86年内藤繁春厩舎所属でデビュー。88年オークス(コスモドリーム)で重賞初制覇。91年にダイユウサクで有馬記念V。12年にマーベラスカイザーで中山大障害制覇。JRA通算1051勝、重賞33勝、G1・4勝(いずれも平地&障害合計)。153センチ、53キロ。