【天皇賞・春】アスクビクターモア逆襲オーラ 菊花賞馬の風格、追い切り工夫しスイッチ入った

ウッドチップを単走で追い切るアスクビクターモア(撮影・柴田隆二)

<追い切りの番人>

天皇賞・春(G1、芝3200メートル、30日=京都)の追い切りが26日、東西トレセンで行われた。注目馬の調教を掘り下げる「追い切りの番人」は、東京・井上力心(よしきよ)記者が、昨年の菊花賞馬アスクビクターモア(牡4、田村)の反撃態勢をチェック。1週前に新馬戦以来となるジョッキー騎乗、リードホースを置いた実戦形式のメニューを取り入れ、気持ちは1段ピリッとした。日経賞9着から巻き返しの態勢は整っている。

アスクビクターモアは恵まれた体を巧みに操り、大きな完歩で豪快に跳んだ。体全体をしならせながら、外ラチ沿いをわが物顔で突っ走り、美浦ウッド単走で6ハロン82秒8-11秒8(馬なり)。田村師は「(横山)武史君が『(当週は)僕が乗らなくていいと思います』と。先週の時点であらかた出来上がっていたし、いつも通りの単走で。いい内容だったと思います」と話す。さらっと調整程度でも他馬を寄せ付けないオーラを放ち、菊花賞馬の風格を漂わせた。

巻き返しに向け、1週前追い切りを工夫した。新コンビということもあったが横山武騎手がまたがった。ジョッキー騎乗での追い切りは実に新馬戦以来だった。また、いつもの単走追いのメニューにワンエッセンス加え、5、6馬身前にリードホースを置いて一定の距離を保つ状況を作った。師は「テンションを上げないよう今まであまり乗せてこなかったけど、割と大人になってきたからね。騎乗者も代わってちょうどいい機会だと思って」と背景を明かす。前進気勢は旺盛だったが冷静に前を射程に入れ、大外いっぱいを回って5ハロン64秒7の自己ベストを更新。「アレンジして良かったと思っているしうまくいった」と満足していた。

その効果もあり、この日のラストのうなりはまさに戦闘モード。1段階気持ちがピリッとしたように映った。とはいえ「馬房ではよく寝ているしすごく穏やか。感情のコントロールができている」とオンオフの切り替えはばっちり。いいあんばいで気持ちを高められメンタルも長丁場仕様だ。「やっぱり菊花賞馬だと思ってもらえる競馬がしたい」と師。心身ともに反撃態勢が整った。あとは「最も強い」ことを証明するのみだ。【井上力心】