白毛一族といえば、シラユキヒメを祖とするシラユキヒメ一族です。JRAの白毛馬47勝中45勝がこのシラユキヒメ一族によるもの。では、残り2勝は?
ニュージーランド生まれの白毛馬カスタディーヴァと、米国生まれの白毛馬ホワイトドラゴンが挙げた勝利です。覚えていますか。今から6年前の函館、2頭が函館のウッドチップコースで歴史的な併せ馬を行い、その2頭がともに函館で勝利を挙げたことを…。カスタディーヴァは美浦の田村厩舎、ホワイトドラゴンは栗東の鮫島厩舎。普段は東西のトレセンで別々に調教を行っている2頭が、夏の函館でたまたま出会い、競馬を盛り上げようという両陣営、関係者の粋な計らいと、同じ週に出走予定というタイミングの妙があり、あの併せ馬が実現しました。
当時は函館出張中。併せ馬で追い切った週にホワイトドラゴンが勝利を挙げると、その週に敗れたカスタディーヴァは連闘で翌週に勝利。函館競馬場が大歓声と大きな拍手に包まれた、あの瞬間を自分は忘れることができません。
カスタディーヴァは16年の1月、彼女がニュージーランドのセリでディアレストクラブの高樽秀夫代表に落札された翌週から取材させてもらってきていたので、特に思い入れがありました。関東オークスで所有馬が白毛馬ユキチャンと一緒に走り、白毛馬の魅力を感じ、自分も白毛馬を所有したい、そして、いつか自身の手でシラユキヒメとは別の白毛の系統をつくろうと…。夢を聞き、情熱に触れました。
ニュージーランドで白毛馬が生まれたことを聞き、当歳のときから購入をオファーしてきたこと、カラカ(同国を代表するセール)で落札した後、オーストラリアの厩舎から「預けてほしい」と頼まれたこと、「彼女を日本へ連れて行かないで。連れて行くならアイスクリームは売らない」とアイスクリーム屋の店員さんに言われたこと、日刊スポーツで馬名を公募し、決めていただいたこと…、たくさんのエピソードがみな面白くて…、でも、それだけじゃないです。
ジオペラハウスの14(のちのカスタディーヴァ)のセリ名簿のブラックタイプを見ると、近親にオーストラリアの名馬マイトアンドパワーがいて、それだけじゃなくて、フランス1000ギニーを勝ったディープインパクト産駒ビューティーパーラーの名前があって…、当時は気になりませんでしたが、今になって見直すと、カタログの一番下にはモシーン(現役時はオーストラリアでオークスなどG1・4勝。日本で繁殖牝馬として活躍)の名前もありました。競走馬としての活躍、そして、本気で新たな白毛の系統をつくるのだと…。南半球産の遅生まれというハンデはありましたが、フェブラリーS当日の新馬戦でデビューし、函館で初勝利。繁殖入り後、初子に白毛のアオラキ、2番子に鹿毛のポウナム(牝2、田村)が誕生。今年、3番子の白毛馬(牝、父フィエールマン)が誕生し、その血を広げています。
1回開催1週目&2週目に出張していた阿部記者も「函館便り」でカスタディーヴァの初子アオラキ(牡3、田村)のことを書いていました。昨夏に函館でデビュー。ここまで9戦は惜しい競馬もあり、もう少しで初勝利というところまできています。1回3日目の競馬で5着に敗れたアオラキは中1週で、日曜6Rの未勝利戦に出走します。自分はまた、ここ函館で白毛馬の勝利、カスタディーヴァの子の勝利を見られるかもしれないと、少しドキドキしています。
今、函館には6年前にカスタディーヴァを担当していた田中助手(アオラキ担当は知念助手)、ホワイトドラゴンを担当していた松浦助手がきています。
「あの併せ馬、懐かしいなあ」とホワイトドラゴンを担当していた鮫島厩舎の松浦助手。今週、土曜6Rの新馬戦(ダート1000メートル)には同助手が担当するバルミーウェザー(牡、父パイロ、黒鹿毛)が出走予定です。「コンパクトな馬体で、バランスがいい馬です。ゲートもポンと出ますよ」と好感触でした。アオラキとともに、今週末、勝利を期待したい1頭です。
来週はソダシの半弟カルパ(牡、須貝、父モーリス)も函館でデビューする予定です(芝1800メートルの新馬戦)。取材中、秋にJRAの競馬場内で白毛馬をフィーチャーする企画が進行中という話も聞きました。「自分が担当した馬のことをファンに思い出してもらえるのはうれしい」という声を聞きました。
脈絡のない文章を長々と書いてしまいましたが、勝手にまとめると、「函館には白毛馬がよく似合う」でしょうか。木曜午後、今週末の出走馬が決まりました。日曜6Rはカスタディーヴァの子アオラキに6年前、母が勝ったときの感動の再現を期待して…。
明日、金曜朝も元気に取材できますように…。【木南友輔】