【美浦便り】本格的な秋がやってきました…菊花賞に富士Sに天皇賞1週前にBCにワクワク

菊花賞週の水曜朝の美浦、笑顔のルメール騎手(左)とモレイラ騎手

午前4時、米国のブリーダーズカップ開催の遠征へ向け、検疫中の馬たちが坂路を駆け上がっていきます。美浦で検疫を行っているのはウインカーネリアン、ウシュバテソーロ、ウインマリリン、栗東から美浦に入っているデルマソトガケの4頭。

南スタンドの壁面に表示される気温は10度。ちょっとヒンヤリする秋の夜明け前です。

日が昇り始めた午前6時半、馬場開場とともに先頭でウッドチップコースを駆け抜けていったのが、イクイノックスでした。今年の世界ランク1位、世界が注目する最強馬の天皇賞・秋1週前追い切り。囲み取材に応じたルメール騎手の口調もとてもさわやか。開口一番の「バッチリです」に始まり、「宝塚記念の時はベストコンディションじゃなかったと思います。今回はほとんどベスト。心身ともにいいです。(天皇賞のレースへ向け)プランはないけど、何でもできる。ミドルポジションでも、いいスタートをしたら自分のリズムで運ぶだけ。彼は全部を持っている。スタミナ、スピード、ストライドは大きいし、伸びる。強い気持ちもある」と。

その後、追い切りを終えたモレイラ騎手が南スタンド前へ姿を見せ、こちらも囲み取材に応じてくれました。

タスティエーラの追い切りにまたがり、菊花賞への意気込みもキッパリと語ってくれました。「菊花賞に乗るのは今回が初めてですが、3冠競走の1つですし、クラシック競走で名前をこれまでにも聞いていました。私が日本に来て、勝ちたいレースのリストの中にある1つです」。

取材の前にはモレイラ騎手の通訳のアダムさん(オーストラリア出身)と、ルメール騎手がラグビーのワールドカップ(フランス開催。フランスは準々決勝で無念の敗退)の結果について、熱く語り合うシーンもありました。

富士Sでマイル戦に初挑戦するソーヴァリアントの鞍上には池添騎手の姿。2週連続で栗東トレセンから駆けつけています。「片方だけチークピーシズを着けたことでモタれることがなかったし、手前もスムーズに替えてくれました。いつでもはじけそうでしたけど、やりすぎないように抱えて」と、こちらも好感触です。

天皇賞・秋の1週前追い切りで見逃せないのが、初コンビのミルコ・デムーロ騎手とスターズオンアースでした。今年の2戦は大阪杯2着、ヴィクトリアM3着。少し人気を落としそうですが、登録馬13頭の紅一点で、昨年は桜花賞、オークスを制した2冠牝馬の反撃はあるのか。

「ドゥラメンテにちょっと似てますね。前脚の使い方が似ています。少し鈍いところがあると聞いていたけど、とてもいい馬です。スピードもあるし、能力も感じます」と来週が楽しみになる言葉が続きました。

先週の秋華賞で3冠牝馬が誕生し、今週はクラシック最終戦の菊花賞。土曜には東京でマイルCSにつながる富士Sがあり、来週は天皇賞・秋、その先にはJBC、ブリーダーズカップ開催。馬券発売はありませんが、オーストラリアに遠征している日本馬が出走するコーフィールドCやメルボルンC(メルボルン)、ゴールデンイーグル(シドニー)も見逃せません。

スポーツの秋、本格的に、競馬の秋です。世界の平和を願いながら。【木南友輔】