【天皇賞・秋】イクイノックス木村師「追われる立場はあまり意識していない」一問一答

イクイノックスの最終追い切りを終えて記者会見する木村師(撮影・丹羽敏通)

天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、10月29日=東京)。世界最強馬イクイノックス(牡4)を管理する木村哲也調教師(50)が共同会見に出席した。現在G1・4連勝で天才の名をほしいままにする同馬。連覇の懸かる一戦であり、このレースでG1競走出走機会5連勝となれば、史上6頭目の偉業が待っている。一問一答は以下の通り。

-夏休みを終えて

木村師 けがなく、トラブルなく来てくれているという感じですね。

-帰厩してから気を付けたポイント

木村師 トラブルなく、健康であること。元気で馬場に向かってくれるイクイノックスというのを1つ目としてスタートしている。基本のキというか。そういう感じですね。

-世界NO・1でも1歩1歩やってきた

木村師 そうですね。どの馬でもそうですが。注目度が高いというのは十二分に分かっていますし、であればこそ、余計にその部分をおろそかにはできないと思っています。

-夏を越えて成長した部分

木村師 23年の前半は、ホームかアウェーかといえばアウェーでの戦い。そういうのが続いていた。精神面との戦いからスタートというのがあったんですが、ホームに帰ってきてイクイノックスが感じられる部分で言えば、落ち着いていますし、ゆったり過ごせているという意味では、成長かなと思っています。

-春は左右のバランスを気にしていた

木村師 夏に時間をいただいて、牧場の方でも腐心して対応していただいた。春の疲れをしっかり取り切って、傷みかゆみのない状態というか、健康なイクイノックスで夏休みを過ごせたと思っています。

-先週、今週の調整について

木村師 先週に関してはルメールさんにまたがっていただいて、追い切りを行いました。1週前に乗っていただくことが多いので、ルーティンというか、前回の宝塚記念同様に1週前に乗ってもらって、現状の感触をつかんでもらう。もし気になるところがあれば、フィードバックをいただいて、残りの調整に生かしていきたい。そういう意味合いでお願いした。今日はオーソドックスというか、厩舎としてはこういう注目度の高い中でも普段通りが果たしてできるのかというのが重要な部分でしたが、今日に関しては実戦を想定して、道中の折り合いとか我慢とか、ライダーの指示に従って待って、ゴーサイン出ればしっかりゴールに向かって走っていくという、基本的なところ、大事にしている部分ができるかどうか。通常営業というかいつも通りのことができるかどうかに取り組んだというのが、テーマになると思います。

-連覇が懸かるレース。追われる身、世界ナンバーワンホースを送り出す身として

木村師 イクイノックスは何も分かっていないと思うので、大丈夫だと思います(笑い)。自分の管理馬をよりよい状態にして、ファンの皆さまに見ていただきたいということに集中していて、揺るぎない部分だと思います。迎え撃つ立場とか、追われる立場はあまり意識していない。全ての出走馬、どの馬もすごい馬ですし、関係者の皆さまのご尽力も分かるので、自分が周りと相対的にどういう立場にあるかというのは意識しないようにしていますね。

-G1連勝、ドウデュースとのダービー以来の対戦は盛り上がる

木村師 皆さんがそういうところに興味があるのは十二分に理解しています。ダービー馬。それだけすごい馬だと思っています。3月にドバイで仕事した時に、ドウデュースと同じスペースで仕事する機会に恵まれて、間近で馬を見て、友道先生、厩舎スタッフの仕事ぶりを拝見して、素晴らしい馬で、素晴らしいトレーナー、スタッフできらびやかな印象を受けて、刺激を受けてファンになったというか、本当に素晴らしいと思った。アクシデントがあってドウデュースが出走に至らなかったのは残念に思いましたし、それが大前提です。アクシデントがあってもここに来る過程で、ドウデュースの方が休養期間がありましたけど、その期間でドウデュースに関わってここまで来ている厩舎スタッフだけはなく、牧場のスタッフの素晴らしさも個人的に分かっているので、そういった関係者含めて、ドウデュースのバックボーン、本馬がどれだけ素晴らしい、本当に尊敬すべき存在であるのは声を大にして言いたい。さりとて、私がやるべき事は管理馬イクイノックスが日曜日の午後によりよい状態でファンの皆さまにお見せできるように導いていくことだと思っている。

-少数精鋭で注目度の高いレース。本番に向けて

木村師 ものすごい注目度の高さは分かっていましたし、今この瞬間もひしひしと感じています。こういったさまざまなシチュエーションを自分としては幸せだなと思っています。応援してくださる方に少しでも楽しんでもらいたいというか、普段僕がファンの皆さまに支えてもらっているエネルギーをお返ししたいと思っています。日曜日までまだまだ時間は続きますが、一瞬一瞬大事にして、このしびれるような緊張感をプラスのエネルギーに変えてファンの期待に応えられるような取り組み、仕事をしていくと約束したいです。