<ソングライン林師インタビュー:下>
日本最強のマイラーから世界最強のマイラーへ。BCマイル(G1、芝1600メートル、11月5日=米サンタアニタパーク)にソングライン(牝5、林)が出走する。始動戦の毎日王冠2着後に、放牧先のノーザンファーム天栄(福島県)での出国検疫を経て、現地時間10月24日にサンタアニタパーク競馬場に到着。大一番に向けて調整を進めるマイルG1・3勝馬の完成度やレースに向けた思いを、同馬を管理する林徹調教師(44)が語った。【取材=松田直樹】
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-ソングラインを初めて見たときの印象は
林師 開業2年目の19年でした。1歳春にサンデーレーシングさんからお話をいただいてノーザンファームさんに拝見にうかがいました。品があって歩きもしなやかで、こんないい馬をやらせていただけるのか、と。その時点ではG1を勝つなどはもちろんわかりませんが、本当にいい馬でした。調教厩舎の方からはちょっと繊細なところがある、と伺っていました。フィジカル的には線が細いところがある、と。フィジカル面に関しては、新馬戦を使った2歳夏の放牧を挟んでから少しずつドシッとしてきましたね。
-そんな馬がいよいよBCマイルに挑戦する
林師 まさか欧米のビッグレースに自分の管理馬を出走させるなんて、調教師になったときには全く想像できませんでした。本当に夢みたいです。びっくりというか…。私は開業してから4カ月間、勝てなかったですから(初勝利は18年7月1日函館9Rクレッシェンドラヴ。同馬はその後、重賞2勝)。みなさまに助けていただいてここまでこられました。どれだけ感謝しても感謝しきれないくらいです。本当に馬のおかげ、支えてくれているみなさんのおかげです。
-サンタアニタパーク競馬場のマイルはコーナーが4回。日本にはない、1周が小さなコースとなる
林師 コーナー4回は新たなチャレンジではあると思います。ですが、スタートが出るようになったアドバンテージは大きいですよね。それに馬群を前走で割ることができた点もよかったと思っています。
-同競馬場は他場に比べて時計が速い印象がある
林師 たしか、レコードが1分31秒台(サンタアニタパーク開催で最速は12年ツアリストの1分31秒71)ですよね。今年は開幕週で下級条件で1分33秒台が出ていたと聞いています。コース形態としての適性がわからないチャレンジですが、時計が速いことについてはソングライン号にとっては全くマイナス材料ではないと思います。日本で走っている馬向きのコースかな、と。
-あらためてこの馬の強みとは
林師 賢いところじゃないでしょうか。普段かわいらしいんですけどね。自分で体を仕上げたりとか、一流のアスリートというか…。レースに向けて自分で体をつくったり、レースが終わるとまたリラックス、リフレッシュして。そういったオン、オフですね。会話はできなくても、いろいろ感じてわかるんだと思います。
-G1での馬体重がレース3日前の事前発表と当日発表で10キロ以上減ることがある。自分で体をつくるとは、そういうことか
林師 そうですね。賢いというか、頭がいいというか。厩舎としてはソングライン号だけに特別なことはしていないです。ソングライン号はどういうコンディションで走ったら自分が一番のパフォーマンスを発揮できるのか、つまり、ちゃんとエネルギーがあって体の軽い状態がわかっている。先日のマラソングランドチャンピオンシップで川内優輝選手(4位好走)が、レース前日にカレーのライスの量を600グラムから700グラムに変えていた話があったじゃないですか。一流のアスリートと同じで、自分でジャストフィットさせるんだと思います。
-各ブックメーカーからは1番人気の評価が与えられている。最後に抱負を
林師 私の仕事は馬を仕上げること。ソングライン号には本当にいろいろ大事なことを教えてもらいました。馬主さんが素質のある馬を預けてくれる。牧場さんがいい状態でトレセンに送り出してくれる。我々は箱根駅伝で例えたら、第9走者(最終走者=ジョッキーにたすきを渡す役目)。責任重大です。いろんな方が紡いでくださって、ここまで来ることができました。アメリカのG1連勝馬もいたり、欧米の強力な馬が出走するので、挑戦者のつもりで臨みたいです。