<追い切りの番人>
“藤沢流”の真骨頂だ。マイルCS(G1、芝1600メートル、19日=京都)の最終追い切りが15日、東西トレセンで行われた。調教を掘り下げる「追い切りの番人」では富士S2着のレッドモンレーヴ(牡4、蛯名正)を東京・桑原幹久記者がチェック。名伯楽の藤沢和雄元調教師(72)に師事した蛯名正義調教師(54)が、馬の個性を尊重した調教でG1初勝利を目指す。
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気分よく、気持ちよく-。レッドモンレーヴが、灰色がかった美浦ポリトラックを軽やかに駆けた。外メリディアンローグ(障害オープン)を2馬身追走。直線で鞍上が僚馬に何度も目を配るほど、余裕たっぷりに併入した。5ハロン69秒7-12秒1(馬なり)と時計は目立たない。だが、それでいい。蛯名正師は「良かったと思う。とにかく気持ちが大事な馬。楽しく“学校”に行けるようにやっていきました」と独特の表現で万全を強調した。
変化を恐れない。休み明けの前走富士Sは1週前、当週追いをウッドで行ったが、2週続けて併せ遅れた。レースは2着も、師は「人間で言えば“ちょっとだるいな”という感じかな。競馬にいけば走るけど、根詰めると競馬も走らなくなる」と刺激策を練った。今回は1週前からキャリア初のポリトラック追いを採用。ウッドに比べ負荷が軽くなる分は、前走時にはなかった坂路2本追いを1週前の金曜、当週の火曜に追加した。「新鮮さを求めた。1度使って心身ともに軽くなって、楽に動けている」と上積みを実感する。
多彩な引き出しは、名伯楽から学んだ。21年2月に騎手引退後は藤沢和師に師事し、昨年3月に開業。同厩舎のスタッフが多く在籍し、成長曲線を邪魔しない馬なり調教も引き継ぐ。「グランアレグリア(20、21年マイルCS連覇など)の時もそうだけど、決して強要はしない。馬に寄り添って、その中でいかに走る気持ちにさせるか」。桜花賞では最終追い切りで先行先着、大阪杯ではあえて僚馬に1度抜かせてから追い抜いたりと、試行錯誤で名牝を育んだ師匠の策を浮かべ、生かした。
思い入れは強い。レッドモンレーヴは藤沢和厩舎でデビュー。昨年2月末での定年引退、厩舎解散に伴い蛯名正厩舎へ加わった。「(藤沢和)先生にこれだけの馬を預けてもらって結果を出さないといけないというのはある」。今年5月の京王杯SCで同馬&厩舎初の重賞制覇を果たし、G1初挑戦の安田記念で6着と健闘した。「強い相手と戦ってきたし能力はここでも負けていないと思う。褒めてあげたら喜ぶ馬。応援してもらえたら頑張れる子だと思う」。新マイル王へ勝負手に出た。【桑原幹久】