【美浦便り】イルミネーション輝く冬の中山…熱く激しいジャンプの季節もクライマックスに

「ガッツポーズはとっておきます」と石神深一騎手(撮影・木南友輔)

「暑いですね」。調教を終えてスタンドに戻ってきた五十嵐騎手が額の汗を拭いながら、そう言いました。火曜朝の美浦は例年よりも少し暖かく、馬場開場が終了する時刻になると、ポカポカ陽気。ジャパンCで今年の東京開催が終わり、今週からは中山競馬場で競馬が行われます。

土曜の中山8RはイルミネーションジャンプS。ここをステップに最終週の中山大障害に挑む馬も出てきます。五十嵐騎手はショウナンサルヴォで挑みます。テン乗りになりますが、先週、障害を飛んで感触をつかんだ様子でした。「結構、メンバーがそろいましたね。馬の状態は良さそうですし、以前にオープンでいい勝負をしている馬なので」。

登録馬を見ると、関西馬が強力です。平地&障害の重賞ウイナーで、2年連続2着のアサクサゲンキ、阪神スプリングJを10番人気で制したジェミニキング、未勝利とオープンを強烈な勝ち方で連勝中のディープインパクト産駒ロックユー、同じく連勝中のスヴァルナなど。

関東からはジャンプ復帰戦となる、あの大物にも注目です。一昨年に新潟ジャンプS、阪神ジャンプSを制したトゥルボー。脚部不安で戦列を離れていましたが、10月に平地競走で2年ぶりに実戦復帰しました。「(先々週、先週と)2週連続でコースで追い切りをやれていますし、順調にきています。あとはレースで心肺がどうかですね。飛越は一線級なので」と石神騎手。

石神騎手は現在、13勝を挙げ、リーディング首位に立っています。1勝差の12勝で続くのが関西の若き名手、小牧加騎手。3位が11勝で五十嵐騎手。昨年は5年ぶり3度目のJRA賞受賞を果たし、今年も2年連続を狙っています。「(中山、阪神で年内の障害競走は)残り9鞍。ありがたいことにたくさんの騎乗依頼をいただいてますし、(リーディングを)取りたいです」。リーディング獲得のラインは15勝前後だと思いますが、最後の最後まで激しい争いになりそうです(※伴騎手が負傷で不在なのが本当に残念ですが…)。

絶対王者オジュウチョウサンがターフを去り、戦国模様のジャンプ界。ニューツーリズムとコンビを組む草野騎手は暮れの中山大障害に京都ジャンプS覇者エコロデュエルで挑むことが決まっています。天皇賞・秋、ジャパンCで世界を驚かせたイクイノックス、今週チャンピオンズCのウィルソンテソーロと同じキタサンブラックの初年度産駒です。「エコロデュエルはメチャクチャ頭のいい馬です。中山でうまく気持ちが切れないように運べれば」と。

今朝は東京ハイジャンプを快勝したマイネルグロン、昨年覇者のニシノデイジー、今年は平地の萬代橋特別(新潟)逃げ切りという異色のステップで挑むビレッジイーグルなど、大障害に挑む馬たちの元気な姿も確認できました。

欧州のようにフラット、ジャンプで本格的なシーズンが分かれているわけではありませんが、やっぱり師走になると、大障害が近づいてきて、ジャンプシーズンもクライマックス感が出てきます(※記者は先週から英国の聖地チェルトナムで買ってきたジャケットを着ています)。残り9鞍。今年も1鞍、1鞍を熱い気持ちで予想し、馬券を買いたいと思います。【木南友輔】