【検証】1番人気1着で大波乱!3連単190万馬券は、なぜ生まれたのか?/チャンピオンズC

チャンピオンズCを制したレモンポップ(右)。左へ2着ウィルソンテソーロ、3着ドゥラエレーデ

<チャンピオンズC>◇3日=中京◇G1◇3歳上◇ダート1800メートル◇出走15頭

1番人気のレモンポップ(牡5、田中博)が、フェブラリーSに続いてJRA・G1連勝を飾った。2着は12番人気のウィルソンテソーロ(牡4、小手川)、3着には9番人気のドゥラエレーデ(牡3、池添)が入り、3連単は190万2720円の超万馬券決着となった。1番人気が“アタマ”に来ながら、どうしてこれだけの高配当馬券になったのか? その理由を探った。

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まず、1着レモンポップは、非常に強い競馬をした。大外枠からハナを奪い、前半3ハロンを36秒4、5ハロンを1分0秒9とよどみないペースで逃げた。2番手にドゥラエレーデがつけ、内の3、4番手にテーオーケインズがつける。道中、目立った動きがないまま、というよりも軽快にレモンポップが逃げていたため、他馬は動けないように見えた。そのまま直線へ。楽な手応えで先頭を走るレモンポップに対し、2番手ドゥラエレーデのムルザバエフ騎手は激しく手が動き、テーオーケインズの松山騎手も内から必死に追うが伸びを欠く。外めの4、5番手にいた3番人気クラウンプライドもいつもの推進力がなく、2番人気で道中後方にいたセラフィックコールも外から追い上げようとしたが、持ち味の末脚を見せることができなかった。

そんな中、後方から唯一、脚を伸ばしてきたのが、12番人気のウィルソンテソーロだった。スタートで出遅れたが、結果的にはこれが幸運だったのかもしれない。原騎手は、ガラリと空いた内ラチ沿いに寄って、メイショウハリオの後ろにつける。道中は後方から2、3番手の位置から動かない。他馬の鞍上の手綱が動きだした3コーナー過ぎも、内でじっと我慢。4コーナー直前になって合図を出すと、スムーズに外へ持ち出して、直線はまさに矢のように伸びて2着に食い込んだ。3~4コーナーで外々を回らされたクラウンプライド、ハギノアレグリアス、セラフィックコール、アイコンテーラーなどが直線伸びずに敗れたのとは、対照的なレース運びだった。

3着に粘ったドゥラエレーデは、強い勝ち馬を2番手から追いかけながらしぶとく踏ん張っただけに、大健闘の内容と言える。今後のダート戦線での活躍が楽しみだ。2年前の覇者で4着のテーオーケインズは、内で脚をためて、勝ちパターンに見えたが最後の伸びを欠いた。全盛期に比べると、調子を欠いたのかもしれない。

結果的には、非常に強い逃げ馬が押し切って、人気薄で道中脚をためた馬が差し込んできての190万馬券決着。レースは違うが、同じような展開で思い出すのは、ダイワスカーレットが1番人気で逃げ切った2008年の有馬記念だ。

道中で追い上げた2番人気マツリダゴッホや3番人気スクリーンヒーローが失速し、後方で脚をためた14番人気のアドマイヤモナークが2着に突っ込んできたあのレース。3着には4コーナー手前でひと脚ためていた10番人気エアシェイディが食い込み、3連単は98万円超の大荒れになった。

強い逃げ馬がいるレースでは、追いかけようとした実力馬が追撃力を失い、えてして後方で脚をためた人気薄が穴を開ける-。今年のチャンピオンズCも、そんな展開で夢のある高配当が生まれた。

競馬の難しさ、面白さ、推理の奥深さを、あらためて感じたレースだった。【デスク】