JRA初の女性調教師が誕生した。2024年度の新規調教師免許試験の合格者が7日に発表され、栗東・坂口厩舎の前川恭子調教助手(46)が5度目の受験で合格を果たした。来年1月から調教師となる。
また、JRA通算1809勝(7日現在)の田中勝春騎手(52)、同1056勝の秋山真一郎騎手(44)ら東西で計9人が狭き門を突破した。なお、秋山騎手のみ本人申請により免許有効期間の始期が来年3月1日となる。
◇ ◇ ◇
髪を後ろに束ね、スーツに着替えて第1歩を踏み出した。JRAの調教師試験に女性として初めて合格した前川助手が、居並ぶカメラを前に決意を口にした。
「うれしいのひとことですが、より責任ある立場になるので、身の引き締まる思いです。女性でも男性でも、馬よりは力が弱いので、女性だからできない仕事では全然ないと思います。もっと女性の方に入ってきてほしいので、そういう意味でもアピールできたら」
厩舎で愛馬の世話をするうちに午前10時の合格発表を迎え、自らスマートフォンで調べて知ったという。千葉県の実家近くに牧場が多く「保育園の隣にもあって、馬を見ない日がなかった」という環境で育った少女が、26歳でトレセンで働き始めてから20年。5度目の挑戦を実らせた。
競馬界で女性は圧倒的少数だ。JRAに所属する調教師・助手・厩務員の東西合計2507人のうち、わずか1・3%にあたる32人(11月20日時点)。その中で難関を突破した。出産後も仕事を続け、長女は16歳になった。
「私の母が(子供を)みてくれたのもありますし、産休や育休もしっかりとらせてもらいました。やはり馬が好きなので、この仕事から離れられませんでした。働きづらさも感じていません。いろいろと(女性が)仕事を続けられるこつもあるので、そういうご相談にも乗れたらと思います」
引き締まった口元からは“第一人者”としての決意もにじんだ。まず掲げた目標は「働きやすい厩舎」。それが馬づくりにもつながる。女性トレーナーの先駆者として、道なき道を突っ走っていく。【太田尚樹】
▼JRA吉田正義理事長 JRAでは初めての女性調教師の誕生を大変うれしく思っており、また、ご本人の努力に心から敬意を表したいと思います。競馬界全体として、人材の確保・養成は大きな課題であり、そういった面からも、女性の活躍には大いに期待したいと考えております。
◆前川恭子(まえかわ・きょうこ)(1)1977年(昭52)4月9日(2)46歳(3)栗東・坂口(4)5回(5)競走馬に携わる中で馬ごとの変化を感じ取り、より健康に全力を発揮させてあげたいと思ったこと(6)目指す調教師は馬にも人にも穏やかな対応の崎山博樹先生と、馬本位で競走馬に接する坂口智康先生(7)関わった馬が大切にされ、元気に長生きし、後世に血を残していくために大きいレースを勝たせたい。
※調教師略歴(1)生年月日(2)年齢(3)所属(4)受験回数(5)志望動機(6)目標(7)抱負