NO・1名手の血が騒ぐ! 今年の総決算、グランプリ有馬記念(G1、芝2500メートル、24日=中山)ウイークが幕を開けた。2年ぶりのリーディング奪還が目前のクリストフ・ルメール騎手(44)は、昨年の2冠牝馬スターズオンアース(牝4、高柳瑞)で史上最多タイとなる4勝目&連覇を狙う。
血湧き肉躍る。はやる気持ちを抑えかねるかのように、ルメールは左手のペンを走らせた。まず書いたのは「一」。われ先に1着を狙う気骨の表れなのか。書き順はフレンチスタイルで(?)下から上へ。「皿」としたためてから頂点へ「ノ」を加えた。昨年の2冠牝馬スターズオンアースと挑む23年グランプリ。そのシンボルとして選んだ漢字は「血」だった。
“血縁”が濃いパートナーだ。母の母のスタセリタとは09年にフランスのオークス(ディアヌ賞)を制覇。おばにあたるソウルスターリングとも17年オークスなどJRA・G1・2勝。フランスで育まれ、日本で花を咲かせた血筋は、15年に日本へ移籍した自身のキャリアとも重なる。
「面白いね。(祖母との共通点は)2頭とも背が大きくて跳びも大きい。スタセリタはスタミナがあまりなくて2400メートルは長かったけど、スターズオンアースはスタミナを持ってる。乗りやすくて能力が高い。前走もジャパンCでイクイノックスとリバティアイランドの3着だからすごい。2500メートルは全然問題ないし中山も大丈夫。彼女の長い末脚が使える。スーパーホースもいない。ビッグチャンス。勝つ自信がある」
血が騒ぐ。有馬記念は過去3勝。昨年に続く連覇を成せば最多勝記録に並ぶ。
「僕にとっての(JRA)G1初勝利だったし、有馬記念はクリスマス競馬。クリスチャンとして特別なレース。(競馬場隣接の調整ルームに泊まるため)家族でパーティーはできないけど、競馬場の雰囲気がすごくいい」
血潮をたぎらせた23年の締めくくりだ。現在161勝で2年ぶり6度目のリーディング奪取へ独走中。G1でも国内外で計7勝を挙げている。
「すごくいい1年。イクイノックスは(今年4戦4勝で)パーフェクトだった。1月からたくさん勝つことができて、またリーディングがとれそう」
血色の良い頬を緩め、満足を口にした。あとはクリスマスイブの祝祭で「1」を書き足すだけ。縁深い血を引く名牝とともに、その心血を注ぐ。【太田尚樹】
◆ルメール騎手の有馬記念 通算【3.4.2.7】で連対率は43・8%。自身のJRA・G1初勝利となった05年はハーツクライに騎乗し、断然人気の3冠馬ディープインパクトを撃破した。2勝目は16年サトノダイヤモンドでキタサンブラックに首差の勝利。昨年はイクイノックスで2馬身半差の完勝だった。今回勝てば、池添謙一騎手と並ぶ歴代最多4勝になる。
◆この日のスターズオンアース 美浦トレセンの坂路でしまいを伸ばした。4ハロン55秒0-12秒3。天皇賞・秋を自重後に臨んだジャパンCでは世界最強馬イクイノックス、3冠牝馬リバティアイランドに次ぐ3着。秋2戦目のローテ的にも、上積みを見込める滑らかな動きだった。高柳瑞師は「追い切った後も息づかいは良かった。坂路で時計を出したが、1週前追い切り後も変わりなくきている」と順調ぶりを強調した。