中野師、50年以上のホースマン人生の最後でも自然体「全然気にしていないよ」

中野師

東西合わせて7人の調教師がいよいよラストウイークを迎える。東の中野栄治調教師(70)はカイザーメランジェ(牡9)で有終重賞Vを狙う。

■中野師 カイザーなど15頭で大攻勢

騎手時代に90年ダービーをアイネスフウジンで制した中野師の最終週はオーシャンSのカイザーメランジェを含む、土日3場15頭の大攻勢をかける。同馬は前走シルクロードSは18着大敗も、長らく厩舎を支えた9歳馬。中野師は「年齢的に大きな上積みはないけど、動きは良かった。時計がかかれば」と話す。24年間の騎手生活を経て、96年に開業。50年以上に及んだホースマンライフが最後を迎える。「これまで記憶にも残るレースをしてきたつもり。最後だからといって、全然気にしていないよ」と自然体で開催日を待つ。

■高橋裕師 やること同じ、最後も自然体

高橋裕師は自然体でラストを迎える。土日中山で計9頭をスタンバイ。「最後でもやることは同じだよ」と笑い飛ばしたが、自厩舎の様子をうかがいながら「おかげさまで33年調教師ができた。来週火曜にここが空っぽになると寂しくなるかもね」とぽつり。「若い人たちはいろいろと考えてやっているから、頑張ってほしいね」と後輩へエールを送った。

■飯田雄師 明日がラスト、走りきるだけ

飯田雄師は7人の引退調教師で唯一、土曜がラストデーとなる。当日に臨場する阪神に2頭、小倉にも2頭の計4頭を送り出す。「最後まで一生懸命、走りきるしかない。日曜は掃除や後片付け」と笑顔で意気込みを語った。小倉10Rのタケトンボは「前走(3着)は和田(竜)ジョッキーに気合をつけて乗ってもらい、いい刺激になっている」と勝利を狙う。

■小桧山師 最終鞍は武豊、恩返しレース

小桧山師の最終週は恩返しのレースだ。土日6頭には弟子の原、佐藤の2騎手に加え、多くの依頼をかけてきた騎手たちに手綱を任せた。最終鞍の日曜中山8Rはタケルジャック。武豊騎手が騎乗する。同師が助手時代の90年には武豊騎手の米国滞在に通訳として同行。“武豊教”を自認する伯楽は、心酔するレジェンドとのレースで調教師生活を終える。小桧山師は「最後は武豊に乗ってもらえる。こんなにうれしいことはないよ」と感慨深げだった。

■松永昌師 思い入れある小倉で最終日

松永昌師はジョッキー時代から慣れ親しんだ小倉で最終日を迎える。「まだ最後という実感は湧かないね。当日になってからかな。小倉は乗り役の時からずっと行っていたから思い入れがある。1頭でも多く、掲示板に載ってほしい」。最終週は阪神、小倉に計12頭。土曜小倉3Rのライスネイチャは、師が騎手時代に主戦を務めたナイスネイチャの近親。「前走は距離が長かった。先行力があるので、距離短縮で」と初勝利を目指す。

■加用師 引退の実感は終わらないと

加用師はラストウイークに6頭を送り出す。週中も普段通りで「引退の実感は当日になって、終わってみないと分からないかな。最後(日曜)はみんなが小倉へ行くから小倉へ」。小倉6Rが最後のレースとなる。土曜中山10Rのミラクルティアラは現級5戦で2着4回と勝利まであと1歩。「ゲートをうまく決め、ハナにいって持ち味を生かしてくれたら」と期待する。