【ドバイWC】“テソーロ”了徳寺健二オーナー特別インタビュー「夢は馬主ランキング世界一」

記者の質問に笑顔で答える了徳寺健二オーナー(2024年3月13日撮影)

今週末の30日にドバイ国際競走が行われる。主役はドバイワールドC(G1、ダート2000メートル、メイダン)で史上2頭目の連覇を目指すウシュバテソーロ(牡7、高木)。同馬に加え、同レースに出走するウィルソンテソーロ、UAEダービー(G2、ダート1900メートル、メイダン)に出走するジョージテソーロ(牡3、嘉藤)を送り出す了徳寺健二ホールディングス(株)の了徳寺健二氏(76)が馬主となった経緯、牧場開設などを語った。【取材・構成=桑原幹久】

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-馬主となった経緯は

了徳寺氏 私は最高学府の大学を作って、価値ある大学、生き残れる大学という目標を成し遂げました。ただ大学の経営はかなり忙しくて、どこかで区切りをつけて誰かに経営を譲ろうと思っていました。そして生涯わくわくできるものがないか、と考える中で競馬好きの大学職員から「学長、馬主になりませんか」と言われて「あっ、それだ!」と瞬時に反応しました。それまで馬券の買い方も分かりませんでしたが、すぐに馬主になる手続きを教わってやりました。何もかも人の10倍でやる。昔から「よろいは走りながら着けろ」というのがうちのモットー。それは競馬でも同じでした。

-目標としたことは

了徳寺氏 私の人生を振り返ると5つの目標を掲げてきました。それは「柔道の金メダリストを育てる」「整形外科のチェーン展開を成功させる」「大学を設立する」「人々の夢。不老町を実現する医療技術の開発」「世界一速い競走馬を育成する」。ウシュバがドバイワールドCを勝ってくれて、すべてかなえることができました。夢ってかなうんだなと。やればできるということを若い人たちに伝えたいですね。

-18年に北海道・日高町にリョーケンファームを設立した

了徳寺氏 競馬界で成功するためには理想の馬を自分で生産しないといけない、と思いました。だから馬主になってすぐに牧場を作りました。これは仮説ですが「競走馬の能力は幼少期から青年期にかけての運動量の総和である」と。つまり鉄は熱いうちに打て、ということですね。うちの牧場では生まれてすぐの仔馬たちが親子ですぐに駆けていく。それを毎日やっているので強くなっていきます。運動量が違うので、うちの生産馬は丈夫で故障しないです。

-ウィルソンテソーロはリョーケンファーム生産馬の1期生

了徳寺氏 世界中のセリに足を運んで繁殖馬を連れてきました。その中でアンクルモーの血がいいと思って、ウィルソンのお母さんのチェストケローズを米国のセリで購入しました。牧場にいた頃から絶対に走る、いい馬だと私は信じていましたね。

-リョーケンファームの近くに新しい牧場を開設する

了徳寺氏 ありがたいことに毎月応募をいただいて、第2牧場の要員まで確保できています。世界一の馬を作り続けるために、従業員が安心して一生涯暮らせて、夢を見られる環境づくりが大事。ウィルソンテソーロがドバイワールドCを勝ったら獲得賞金の1%を彼らにボーナスとして還元します。3年以上勤務すると牧場の株主になれるので、みんなの牧場なんです。それが私たちの合言葉。給料も牧場の中で日本一高い水準だと思っています。優秀な人材がたくさん入ってくれて責任があるので、海外研修制度や今後は競馬関係の専門学校を作りたいとも考えています。

-今後の夢、目標は

了徳寺氏 生意気ですが馬主ランキングで日本一、世界一になりたいです。中央、地方問わずG1、最高のレースで勝つことが大事。今はウシュバやウィルソンも頑張ってくれていますが、2、3年後にはクラシックに複数の馬を出したいですね。あと自家生産馬でケンタッキーダービーを狙いたいと、リョーケンファームのスタッフたちと話しています。競馬の世界は楽しくてしょうがない。これからもチャレンジを続けていきたいですね。